会報誌2025年10月号(vol. 128)の巻頭特集では、今年6月に満を持して日本でEC展開をスタートさせた「TikTok」(ティックトック)を取り上げました。
世界的にソーシャルメディアが大流行し、SNSアプリ上で商品を販売する「ソーシャルコマース」(中国語「社交電商」)が消費市場において重要な役割を果たすようになっています。
世界で最も人気のショート動画プラットフォームと言っても過言ではないTikTokも、その膨大なユーザー数と革新的なコンテンツ・エコシステムを背景に、EC(電子商取引)の展開を一段と深化させています。
TikTokの中国国内版「抖音」(ドウイン)のEC部門「抖音電商」(以下、抖音EC)のGMV(流通取引総額)は、2024年に3兆元を突破。中国で最も成長著しいECチャネルの1つとなっています。
抖音ECの特徴は、“動画コンテンツがそのまま売り場になる”こと。「ライブコマース+ショート動画+EC」の融合型運営モデルは、中国のショッピング習慣を大きく変化させました。
ショート動画やライブ配信などからユーザーの興味を喚起し、潜在的なニーズを生み出した後、ショッピングサイトや検索からの購入に繋げる。この新しい運営モデルが、販売転換(コンバージョン)率を大幅に上昇させました。
近年、この中国市場での成功体験をベースに、抖音ECの海外版「TikTok Shop」の展開を各国・地域で加速。2022年以降、これまでに東南アジア6ヶ国をはじめ、イギリス、アメリカ、スペイン、メキシコなど、ヨーロッパ、アメリカ、アジアを網羅するグローバルなECネットワークの形成が進んでいます。
2025年上半期にはドイツ、イタリア、フランス。そして同年6月には、日本での運営がいよいよスタートしました。
TikTok傘下の調査会社EchoTikによると、2025年には、TikTok Shopの世界GMVが250億ドルを突破。なかでもアメリカは54億5千万ドル(シェア23%)で最大シェアを誇り、タイ(23%)、インドネシア(19%)がこれに続いています。
そこで今号では、まず抖音ECが中国国内で築き上げた運営モデルを詳細に分析。そのうえで、海外での拡大路線と運営戦略を整理し、日本市場におけるTikTok Shopの可能性と課題、ビジネスチャンスについて考察しました。
次に取り上げたのが、2025年9月に、世界的に著名な市場調査会社のカンターが公表した「2025年カンターBrandZ最も価値ある中国ブランド100社」について。
2025年、中国のトップ100ブランドの総価値は、前年比25%増の1兆2,100億ドルに達しました。うち、68ブランドが価値を上昇させており、昨今の不確実な事業環境下におきながら、ブランド各社の力強いレジリエンス(回復力)と成長力を示しています。
業界別で見ると、ブランド価値が特に高いのは、メディア・エンターテインメント、金融サービス、消費者向けテクノロジー及びサービスの3分野。一方で、ファストフードや新エネルギー車といった分野でも、高成長ブランドが続々と登場しています。
茶飲料の「蜜雪氷城」(ミーシュエ)と「CHAGEE」(霸王茶姫)が初めてランクインしたほか、シャオミ(小米)やBYD(比亜迪)は、ブランド価値の伸びがいずれも70%を超えました。
注目すべきは、今回の世界規模の調査において、中国の主要ブランドが「有意義な差別化」という指標で、最も優れたスコアを獲得し、すべての参加国・市場で最高平均値を記録した点です。
これは、中国ブランドが単に製品機能の独自性を追求するだけでなく、差別化された強みを、ユーザーの共鳴や長期的なロイヤルティへと昇華させ、ブランド価値の中核となる「ソフトパワー」として蓄積していることを示しています。
トップ100ブランドは、海外売上のシェアも2020年以降上昇を続けており、中国ブランドの国際市場における競争力は、ますます高まっています。
多様化が進み、変化の激しい中国市場において、成功はもはや単一の製品優位性に依存するものではなく、ユーザー理解の深さや、テクノロジーを生かした全方位的な運営、そして感情的な繋がりを生むブランド力に拠るところが大きくなっています。
そこで、中国進出を目論む日本企業にとって、中国市場のこうした状況は、今後現地化戦略を再構築し、ブランド価値を再定義していくうえで、大いに参考にすべきということで詳しくレポートしています。
マーケティングコラムは、中国ショッピングモール界の新たな覇者となった「南京徳基広場」について。
2024年、中国の高級小売市場は歴史的な転換点を迎えました。それは、南京徳基広場(DEJI PLAZA)が、売上245億元を記録。長年トップに君臨してきた北京SKP(220億元)を上回り、世界で最も売上の高い商業複合施設に躍り出たのです。
ラグジュアリー品の販売が低迷する中、徳基広場は「アート・ビジネス・テクノロジー」を融合した独自の戦略で、前年比13.9%のプラス成長を記録する絶好調ぶり。
そこで、六朝の古都・南京に位置するこの商業施設が、いかにして地方のいち商業施設から世界の小売業界が注目する新たなベンチマークへと飛躍を遂げたのか。その成功モデルから、日本企業が得るべき示唆について読み解きました。
そのほかにも、中国の消費やマーケティングに関するインサイト情報やデータが盛りだくさんです。
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会報誌『中国消費洞察』
2025年10月号(vol. 128) もくじ
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【巻頭特集】TikTok Shop Japan分析レポート
TikTokのネット通販がいよいよ日本でもスタート!
日本でも人気爆発?「TikTok Shop」徹底分析
【マーケティング戦略】中国トップ100ブランド分析レポート
“メイド・イン・チャイナ”から“ブランド・オブ・チャイナ”へ
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