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「文創」の旗手、台湾系「誠品生活蘇州」が大盛況(1)
中国“コト(体験)”消費を引率
2016年4月15日

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中国「コト(体験)」消費を牽引する台湾系「誠品書店」の中国一号店「誠品生活蘇州」

  2015年11月29日、台湾の著名書店「誠品書店」が蘇州(江蘇省)に、中国本土初進出となる“書店+百貨”複合店「誠品生活」(以下、誠品蘇州)をオープンした。開店以来、蘇州の消費者のみならず中国全土からの客を魅了している。文学と芸術を見事にブレンドした店づくりが定評の台湾系「誠品」。中国初進出前から高い認知度を誇り、中国じゅうの文芸愛好家があたかも“聖地巡礼”するかのごとく、連日多くの客で賑わっている。

  誠品蘇州のオープンは、中国の書籍流通や小売業界においても15年最も大きな話題を呼んだニュースのひとつだ。中国の消費現場が従前の「モノ(商品)」から「コト(体験)」へと急シフトするなか、その潮流を見事に掴むどころか率先するほどの勢いを持つ「誠品」。彼らの魅力とは一体何なのか。今回はその真相に迫ってみたい。

  「誠品書店」は1989年、建築とアート関連の書籍をメイン取扱う書店として台北で誕生した。アーティスティックな空間デザインと、テーマ毎の独特の陳列方法は、瞬く間に注目を浴び、その名は広く知られるようになった。現在では単なる書籍売り場だけでなく、画廊やアート空間のほかに、毎年4,500回以上も開催される各種出版、講演、各種講習会などのイベントスペースも用意されている。

  さらには「文化(カルチャー)」と「創造(クリエイティブ)」のコンセプトを現す造語「文創」に象徴されるユニークなデザインや特徴を持つ雑貨や小物などの台湾発オリジナル商品も販売する。単なる書店ではなく、「文創」をテーマとした情報発信や普及を担う複合型書店として台湾や中国を含む大中華圏で、その地位を確立している。2004年には「TIME」誌の「アジア地区ベスト書店」に選出され、台湾の文化スポットとして香港人や中国人を中心に海外から多くの観光客が訪れるようになった。

  また1999年から台北誠品敦南本店で24時間営業をスタートさせ、読書好きな台北市民にいつでも思い立った時にお店に足を運べる環境を提供した。この新しいライフスタイル提案は多様化する現代人の生活ニーズにも合致し、業界内外で大きな注目を集め、誠品は中華圏において最も話題性と求心力に富む書店へと成長を遂げた。24時間営業の敦南本店は台北の「MUST GO(必ず行くべき)」人気観光スポットとなり、「台北に行って誠品に行かないのは台北に行っていないのと同義だ」とまで言われるほどになった (続)。

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