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健康とエコにも優しいシェア自転車「モーバイク(摩拝単車)」(6)
スマホ普及でシェアリング・エコノミー市場が急拡大
2017年1月19日

スマホ普及でシェアリング・エコノミー市場が急拡大

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急拡大するシェアリング・エコノミー、民泊など新たなジャンルが続々と誕生
  「中国シェアリング・エコノミー発展報告2016」によると、2015年の中国シェアリング・エコノミー市場の規模は約1兆9560億元。同市場への参加人数は5億人を超え、今後5年間の年平均成長速度は40%前後に達すると予想。25年の市場規模は、26兆4000億元前後と見込まれている。

  現在も、シェアリング・エコノミーは一大トレンドとなっており、滴滴やウーバーなどの配車、Airbnb、途家、木鳥短租などの民泊、瘋狂老師などの家庭教師派遣など、スマホアプリを介した新たなジャンルのシェアリング・プラットフォームが続々と生まれている。なかでも今一番ホットなのがシェア自転車で、モーバイクのほかにもofo(共享単車)、優拝単車(UBIKE)、小鳴単車など多くの競合が参入し競争が激化してきている。

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学生をターゲットとしているofoはモーバイク最大のライバル
  なかでもofoはモーバイク最大のライバルと目されている。北京大学の学生によるベンチャービジネスで、15年9月に同大学のキャンパス内でテスト運営をスタートした。 教師や生徒が所有している自転車をofoに譲渡することで「ofo自転車シェアリング」への加入が認められ、全ての共有自転車を無料で利用できるようになるというシステム。ofoのシンボルカラーは黄色で、黄色で統一された自転車群は「小黄(黄色ちゃん)」というニックネームで親しまれている。

  このプロジェクトは主に大学構内での運営を中心とし、15年11月以降、中国人民大学、北京航空航天大学、北京師範大学など北京の各大学へと広がりを見せている。16年3月時点で運営する大学は20を超える。16年4月にベンチャーキャピタルからの投資を得てからは、北京のみでなく上海や武漢等の大学でも運営をスタート。また一般社会でのテスト運営も始まり、上海の街角でも黄色の自転車が目立つようになっている。

  自転車シェアリング市場の広がりを背景に、ベンチャーキャピタルからも熱視線が送られるようになった。 16年9月に、ofoが経緯中国(Matrix Partners)のBラウンド融資及び滴滴のC1ラウンド融資を受けることを発表、その額はいずれも数千万元にのぼっている。さらに10月には1.3億米ドルのC2ラウンド融資が完了したことも公表した。モーバイクも9月にCラウンド融資1億米ドルを受けたことを公表、10月には新たなC+ラウンド融資を受けている。出資者はテンセント(騰訊)、セコイア・キャピタル(紅杉)、ベルテルスマン(貝塔斯曼)など複数の機関及び個人であり、その額は1億米ドル近くに達している。

  自転車シェアリング業界は、既に資本力を背景とする市場パイの奪い合いの時代に突入。14年にタクシー配車アプリの「滴滴打車」と「快的打車」が、また15年にはハイヤー(白タク)配車アプリで「滴滴・快的」と「ウーバー」間で、さらに16年には出前代行アプリ「百度外売」「美団外売」「餓了幺」3社による熾烈なキャッシュバック等のキャンペーン戦争が繰り広げられたが、それが今度は自転車シェアで再現されるのではと業界では噂されている。

  一方で自転車シェアは配車アプリのように簡単には各都市に広まっていかないだろうとも危惧される。例えば重慶のように坂が多い街は、自転車での移動に適さない。また、東北三省など冬の寒さが厳しい地域や、雨季が長い南の地域では、自転車の利用が難しい季節もある。さらに杭州や太原(山西省)のように公共の自転車がすでに普及している都市では、これ以上の市場が期待できないかもしれない。とはいえ、交通渋滞の緩和が声高に叫ばれている現在、健康的に外出ができ、排ガスも削減できるシェアリング自転車の発展には、やはり大きな期待を寄せたいところである。(了)

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