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【第119回】 QQで知名度抜群、中国ネット業界の風雲児
チャットアプリからECまで手掛けるテンセント
2014年4月30日
チャットアプリからECまで手掛けるテンセント Windows95が発売されたのは1995年8月23日。この画期的なOSにより、世界中でパソコンが一気に普及したことは周知の事実です。当時大学3年生だった私も、ちょうど流行り始めていたインターネット見たさに人生初のパソコンを購入しました。

 友人との連絡は、最近はEメールやLINEなどのチャットアプリが当たり前ですが、当時は携帯電話もなくあくまでも固定電話が主流。Eメールをようやく自由に使いこなせるようになったのはアメリカ留学中の頃からです。

  よって小中高の友達は大学入学のため実家の広島から東京へ引っ越ししてから、また大学の同級生や先輩後輩とも卒業後にアメリカへ留学してからは完全に音信不通となりました。今でこそフェイスブックを始めたおかげで少しずつ昔の友人との交流が始まっていますが、もう少し早くインターネットがあれば……とつく づく思います。

 こうした友人同士の結びつきに中国で一役買っているのが、中国最大手のインスタントメッセンジャー「QQ」。1999年に開発さ れたQQは、当時若者が主流だったネットユーザー間で話題となり一気に浸透、12年末時点でのアクティブユーザー数は7億人に達しています。「QQ空間」とい うブログも人気で、80后(80年代生まれ)以降の世代の多くが写真や日記などを友人同士で共有しています。

 その運営母体である騰訊(テンセント)は98年に深セン市で設立されたネットベンチャー企業。スマホ向けチャットアプリ最大手の「微信(WeChat)」も手掛け、そのアクティブユーザー数は3億5500万人(13年12月末時点)を誇ります。

  パソコンとスマホ両方のコミュニケーションツールを牛耳る騰訊。中国ネット業界の「風雲児」として一挙手一投足が注目されています。13年12月期の売上高は604億3700万元(約1兆49億円)、営業利益率は31.8%と高い数字を誇ります。豊富な資金力を背景に、各方面で投資攻勢をかけているのも同社の特徴です。

 ネット通販ではB2C大手の「京東商城」、タクシー配車アプリでアリババとガチンコ勝負を仕掛けている「嘀嘀打車」、グルメ・レストラン口コミ情報大手の「大衆点評」などへの出資で世間をあっと驚かせ、また微信にオンライン決済機能を導入した「微信支付」、資産運用の「理財通」、 新世界百貨や北京王府井百貨集団など小売大手との販売支援提携など、最近話題のO2O(オンライン・ツー・オフライン)の先導役としても注目を集めています。

 事業拡大路線をひた走る騰訊。内需喚起による新たな経済成長が急務の中国にとって、こうした勢いのある民間企業の活躍をいかに後押しするかがますます大切になってきています。今後も引き続き拡大路線を目論む騰訊の動向には要注目です。

※会報誌「チャイナ・マーケット・インサイト」の最新号(14年4月号)では、業界&企業分析の特集として騰訊(テンセント)を取り上げました。同社の業績推移や売上構成、事業展開図、直近の提携及び買収の動きなど、さらに深く掘り下げてレポートしています。詳細は下記リンク先から。
(詳細)http://www.cast-marketing.com/index.php?Mod=Periodical


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