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【第268回】 珠海で見た「コト」消費のシンボル
中国全土で話題の長隆テーマパーク
2017年5月3日
 いま、珠海を中国全土に知らしめているのは「長隆主題楽園(テーマパーク)」でしょう。空港や駅、ビルのエレベーターなど各所でポスター広告が見られ、昨今の「コト」消費ムードにも乗じて、中国でも有数のテーマパークとして認知されています。

 現在、広東省の広州と珠海の2カ所で巨大な総合レジャーエリアを運営する長隆(Chimelong)集団は1989年の創業。ホテル運営から事業を開始し、観光、文化演芸、飲食、娯楽レジャー、不動産開発など業態を多角化してきました。広州に遊園地、野生動物園、プール遊園地、サーカス、鳥類パークなどを、また珠海では海洋パーク(水族館)や劇場を運営。それぞれ五つ星ホテルが隣接しており、中国全土から多くの観光客を集めています。

 この長隆主題楽園の取材も珠海視察の目的だったため、あえて市内から南へ約30km離れた横琴区にある長隆企鵝酒店に宿泊しました。ペンギンをテーマにしたホテルで、エントランスで巨大なペンギンの像が出迎えてくれるなど、館内はペンギンだらけ。ペンギンの飼育場に隣接するレストランもあり、餌付けのほか、よちよち歩きや水中を素早く泳ぐペンギンの群れをガラス越しに眺めながら食事を楽しめます。

 テーマパーク「海洋王国」には絶叫系を含む各種アトラクションがありますが、一番の目玉は水族館。14年3月にギネスに登録された世界最大の水族館で、展示窓のサイズ、アクリルパネルの厚さ、水槽タンクの体積、海底トンネルの高さなど計5項目で「世界一」の称号を有しています。特に幅39.6m、高さ8.3mの巨大な展示窓の水槽で優雅に泳ぐジンベエザメの姿は圧巻。このほか、ホッキョクグマを目の前で見ることができる水槽や、イルカ、アシカ、シロイルカのショーなど子供から大人まで幅広い客層のニーズに応えています。14年3月の開業以来、16年末までに累計約3400万人の来場者数を誇ります。

 15年にはテーマパーク事業集団として世界第7位に選出された長隆。広州から北に約80kmの清遠市にも新たなレジャーエリアを開発中で、今後は全体の9割超を占める中国本土客に加え、香港やマカオなど海外からの観光客を呼び込む計画です。中国のテーマパークというと、上海ディズニーランドや北京に20年開業予定のユニバーサルスタジオについ目を向けがちですが、地元客のハートをすでに掴んでいる広東の「長隆」も一見の価値アリです。


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