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【第269回】 生鮮品のネット購入にも積極的な中国人
便利なネットスーパー、日中で意識の差
2017年5月10日
 日経MJ紙(4月14日付)で興味深い記事を見たのでご紹介します。タイトルは「ネットスーパー食品 伸びず」で、日本政策金融公庫がまとめた消費者動向調査についてでした。ネットスーパーの利用者は全体の7%のみで、利用しない理由として、「実際に商品を見て選べない」が60.9%で、「価格が高い」(33.4%)、「受け取りが面倒」(24.1%)と続き、「品揃えが少ない」「商品の質に不満がある」がそれぞれ1割前後となっています。

 また、ネットスーパー利用者の回答で、「運んでもらえる」が68.8%、「店で購入するよりも手間がかからない」が47.2%あったものの、今後利用を検討すると答えたのは17.1%にとどまったのこと。日本では依然、リアル店舗での食品購入が主流で、ネットでの購入にあまり積極的でないことがわかります。

 これに対して、中国での調査結果は対照的です。企鵝智庫が実施したネット調査によると、15年にネット上で生鮮食品を購入したことがある人の割合は24.5%、購入したことはないが、興味はあると答えた人の割合が48.1%を占め、併せて約70%の人がネット購入に前向きな姿勢です。また、速途研究院の調査では、生鮮品のネット購入において消費者が不安に感じる点として「品質や新鮮さに不安」(43.45%)、「配達に時間がかかる」(27.33%)、「実際の量が表示より少ない恐れあり」(23.69%)など日本とほぼ同じ理由が並ぶ中、一方では生鮮ネット販売を利用した理由として、「価格がリーズナブル」(26.62%)、「便利で速い」(25.86%)、「品数が豊富」(21.07%)と日本とは逆の視点も浮き彫りに。特に興味深いのが「輸入生鮮品が買える」(16.46%)と回答する人もいたことです。

 12年頃から発展し始めた中国生鮮品ネット販売。易観智庫の調査データによると、市場規模が当初の40億元から16年には913億元にまで成長、19年には3506.08億元に達するとの見込みです。日本でのネットスーパーの利用実態を鵜呑みにして何ら対策しないことがないよう、注意していただきたいと思います。 


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