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【第300回】 本場で味わう上海蟹
上海蟹の本場「陽澄湖」で感じるコト消費
2017年12月13日
上海蟹の本場・陽澄湖に浮かぶ蓮花島で、美食と小型ボートの“プチ”クルージングを体験
上海蟹の本場・陽澄湖に浮かぶ蓮花島で、美食と小型ボートの“プチ”クルージングを体験
 上海蟹といえば「陽澄湖」。毎年秋から初冬にかけてのシーズンになると、街中至るところでこの地名の看板を目にします。上海から江蘇省一帯で養殖され、「太湖」や「崇明島」産などもあるのですが、やはりトップブランドは陽澄湖です。
 陽澄湖は、蘇州市中心部から北東の位置にあり、上海市内からは車で1時間半くらいの距離。湖畔に多くのレストランが集まる「巴城」という町が有名ですが、先日来客のアテンドで、初めて湖内に浮かぶ「蓮花島」に行きました。
 蓮花島までは橋で陸続きになっているのですが、一般車両での乗り入れは不可。一番のオススメは小型ボートで、あらかじめレストランを予約しておくと、波止場まで迎えに来てくれます。定員は8~10名程度。船上から延々と続くお店や飼育されたアヒルなどを横目に、約5分で到着します。玄関前に船着き場があるところなど、生活との一体感もあり風情があります。
 料理は基本的に「農家楽」。中国全土でよく見かける飲食とステイが楽しめる農家レストランのメニューです。近くで栽培された新鮮な野菜のほかに、地鶏や魚などをふんだんに使い、素朴で質素な家庭料理がメイン。味付けは醤油や香醋(黒酢)を中心とした下味で、黄酒(紹興酒)を隠し味に使っています。
 上海蟹は水槽から自分で選びます。重量や雄雌で水槽が分かれており、多くの客は雄と雌を一杯ずつ注文します。一杯当たり20元程度の割引をお願いしたら、「まあ自分で養殖しているから別に構わんよ」とのことでしたが、実際には市内のスーパー等で販売されているよりも2割増しの値段。安くはないんです。
 そのせいか、どこのお店も立派な佇まいで、まさに周辺一帯は「蟹御殿」の数々。蓮花島には150軒ほど農家楽レストランがあり、“蟹様様”でしょう。ただ、上海蟹のシーズンのみしか営業できないのではと聞いたところ、実は春に菜の花が咲くころも見どころが満載だとか。
 帰りには湖上を遠回りし、ちょっとしたクルージングも楽しませてくれます。昨今の中国のコト消費やレジャー需要の高まりを背景に、こうした休日の過ごし方を提案する場所も、今後ますます増えていきそうです。 
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