中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


【第408回】 高齢化社会待ったなしの中国!!
医療や介護の「サービス」業が本格始動か??
2020年2月26日
 会報誌1&2月合併号の巻頭特集で、中国の「養老」産業を取り上げました。世界保健機関(WHO)が定める高齢者(65歳以上)が全人口に占める割合で、世界一が日本で28.4%(2019年)。人口は3,588万人にも上ります。

 同じく、中国の高齢者の割合は11.5%で、国別の世界トップ10からはランク外となっていますが、人口はすでに1.6億人超。1979年から始まる一人っ子政策の影響もあり、2050年にはこの割合が30%に達するとも予測されています。

 高齢化社会が待ったなしの中国ですが、医療や介護など具体的な問題は、日本ほど騒がれていないような気がします。これもおそらく中国人の伝統的な考え方である「養児防老(子供を育て、老後は子供に頼る)」が関係しているのかもしれません。

 しかし、こうした親の老後は子供が面倒を見るのが当たり前という価値観が、少しずつ変化しつつあるのも事実です。それは中国でよく議論される「世代論」から説明できます。

 中国では「80後(1980~89年生まれ)」など10年ごとに世代を区切り、それぞれの経済や社会環境などから特徴づけることがよくあります。すでに高齢者となった「50後」以前の世代は、その子供である「70後」世代とともに、上記の伝統的な考え方がまだ根強く残っているため、日本のような切迫感ある問題意識となっていないのでしょう。

 一方、「60後」世代、そしてその子供である「80後」や「90後」世代となると、様子が変わってきます。中国で「421(祖父母4人、夫婦2人、子1人)」と称される特異な家族構成により、働き盛りの夫婦にとって、両親と子供の世話がダブルパンチで負担となります。

 親の面倒を見る余裕のない子世代が増える一方で、改革開放による中国経済の急成長を謳歌したのが「60後」世代。経済的にも恵まれ、子供に負担を押し付けずに、老後の生活は自らが準備すると考える人が増えています。医療や介護など、「サービス」として対価を払うという意識改革が、今まさに始まろうとしています。

 今年は2020年なので、ちょうど「60後」世代が60歳を迎える年。在宅ケアや介護付きマンションなど、日本でいう高齢者向けの産業振興がいよいよ本格化するタイミングかもしれないと思いながら、中国の「養老」産業について調査・分析しました。
このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop