新中間層の79%が通勤中など空き時間に抖音を視聴
■“薄い”人間関係で構成 微信に多数の「半熟人」
新中間層の人間関係は、従来型の「熟人(よく知る仲間)」の関係主体から「半熟人(あまりよく知らない知人)」の関係主体へと移行している。以前はご近所付き合いを重視し、中国でも「遠くの親戚より近くの隣人」という言い方すら存在した。
しかし今の新中間層の多くにとって、ご近所は「挨拶するだけ」の関係になりつつある。呉暁波頻道(チャンネル)のレポート「2019新中産白書」によると、新中間層の三分の二が隣人の名前を知らず、13.8%は道で隣人とすれ違っても気が付かないと回答している。
新中間層にとって、社会的人間関係が最も濃いのは、同窓生や同僚たちだ。なかでも最も関係が深いのは中学・高校の同級生、次が仕事の同僚や大学の同級生という。
これら少数の良く知る仲間たちを除くと、新中間層の人間関係の中心となっているのは多数の「半熟人」との薄い人間関係だ。微信(ウィーチャット)に登録された友達の数がこれを物語っている。
人間が安定的な社会関係を維持できる人数の上限は150人前後とされる「ダンバー数(Rule of 150)」。ところが、新中間層の微信の友達の数は150人を遥かに超え、平均628人に上る 。新中間層のソーシャルネットワークの大部分がこの「半熟人」で構成され、広く浅い関係がはびこってる。(図8:新中間層の微信の平均友達数)
■新中間層のメディア利用 8割が空き時間にTikTok
新中間層のスキマ時間を埋める重要なメディアが動画投稿アプリの抖音(ドウイン・TikTok)だ。運営元のバイトダンス(字節跳動)傘下の広告プラットフォーム・巨量引擎の調査によると、新中間層の79%が空き時間に抖音を視聴。食事、出張・旅の途中、通勤中が主な利用時間で、それぞれ44%、36%、28%を占めている。
新中間層がメディアを利用する状況は、一極集中の傾向が見える。抖音は新中間層にとって、単なる動画投稿アプリではなく、検索やライブ配信、ネットショッピングにも使用する日常的ツールとしても機能している。(図9:新中間層の抖音の利用シーン)
新中間層が抖音を愛用する理由としては、暇つぶしが最も多く、全体の63%を占める。以下、興味あるコンテンツの検索(56%)、情報収集・知識や技能の習得(55%)、生活の記録・自己表現(55%)、収入増(25%)、周りが見ているから・もっと多くの人と知り合うため(14%)、種草(リコメンド)・買物(11%)、芸能人や網紅(KOL・インフルエンサー)の追っかけ(8%)、その他(2%)と続く。
中間層は専門性の高いプロフェッショナルが生成したコンテンツであるPGC(Professional Generated Content)に惹かれる傾向も強い 。ジャンルでは、ニュース、自動車、エンタメ、グルメ、ファッションなどに対する注目度が高い。(表2:新中間層が注目する企業、達人(KOL)、芸能人などのPGCアカウントランキング)
新中間層の微信に登録された友達の数は平均628人に上る
中間層はPGC(Professional Generated Content)に惹かれる傾向が強い(写真:グルメ達人「李子柒」の動画)
- A4サイズで印刷
Copyright (C) CastGlobal Consulting Co., Ltd. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、
本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。
- 前ページへ戻る