昨年の反日デモ騒動から1年が経過し、最近中国では日本企業の本気度を強く感じる場面に遭遇することが増えました。先週末に訪れた蘇州のイズミヤ。外壁の目立つところに「日式百貨　泉屋」という垂れ幕が遠くからでもはっきり分かるほど堂々と出ていました。反日デモで多大な被害が出たにもかかわらずです。地下のスーパーも日本食品を数多く取り揃え、1階では「日本時尚（ファッション）体験区」の催し物が開催されており、多くの買物客で賑わっていました。

　また、先々週のメルマガでもお伝えした最近中国で最も人気のあるテレビ番組「爸爸去哪儿？（パパ、どこに行くの？）」。芸能人など5組の父子が山や海で田舎暮らしをしながら共に交流し成長する過程を描いたものです。

　この番組は、中国の民放で最も人気のあるテレビ局の一つ「湖南電視台」で毎週金曜日夜に放送されているのですが、その正式スポンサーに日産系の高級車ブランド「インフィニティ」が採用されています。番組内でも車での移動にはインフィニティが使われ、否が応にも視聴者の目に飛び込んできます。上海や北京などではインフィニティを見る機会もありますが、地方都市ではほとんど見かけません。しかしこの番組を通して、中国全土の視聴者に「インフィニティ」ブランドが知れ渡ることは容易に想像できます。

　日系自動車メーカーが中国の人気番組の正式スポンサーに名乗り出たことにも驚きですが、それ以外にも先週の放送では、ユニクロとヤクルトが通常の広告枠の中で康師傅（カンシーフ）などのトップブランドと並んでテレビCMを流していました。反日デモ騒動以前にも歌手オーディション番組の「快楽女声」や「中国好声音」などの人気番組がたくさんありましたが、こうした番組に日本企業のCMが目立つ形で流れていた記憶はありません。

　中国のCM料金はかなりの高額と聞いていますが、中国事業での業績がひと段落し、さらなる発展を目指すうえでこうした前向きな投資を試みる日系企業が現れたことに、驚きとともに勇気を与えてもらったような気がします。

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