中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
月刊会報誌『中国消費洞察』

2023年7&8月号 (vol. 106)

月刊会報誌『中国消費洞察』2023年7&8月号 (vol. 106)
 会報誌2023年7&8月合併号(vol. 106)の巻頭特集では、アフターコロナの中国消費トレンドを洞察しました。

 2023年に入り、新型コロナウイルス関連の措置が大幅に緩和された中国。3年に及んだゼロコロナ政策から解放され、巨大な消費市場の回復に世界中から注目が集まりました。

 国家統計局によると、2022年12月以降、実物商品の小売と飲食消費の成長は、すでにマイナスからプラスに転じているもよう。2023年1〜6月期には、全国社会消費品小売総額(小売高全体)が、前年同期比8.2%増の22兆7,588億元となり、消費市場は明らかな回復傾向を示しています。

 実物商品の小売取引高は、前年同期比6.8%増で2兆325億9,000万元。飲食消費も前年比21.4%増の2,432億9,000万元。旅行関連も活況を呈し、文化・観光関連サービスの消費が加速。今年の労働節(5月1日)の連休には、国内旅行消費が前年同期比128.9%増の1,480億元を記録しました。

 ネットでの消費の伸びはさらに顕著で、2023年1〜6月期の実物商品オンライン小売取引高は、前年同期比10.8%増の6兆623億元。社会消費品小売総額の26.6%を占めました。

 6月18日前後に開催される「618」大型ネットセールでも、ECやライブコマース・プラットフォームの累積取引高が7,900億元を越え、直近6年における最高記録を更新しました。

 長きにわたり抑圧された消費需要は急回復を示していますが、その勢いはやや持続性に欠けているのも事実です。

 2023年1〜6月期の全国消費者物価指数(CPI)は、前年同期比で平均0.7%上昇。しかし細かく見ていくと、1月の春節(旧正月)に、リベンジ消費の影響で2.1%増を記録して以降は、3月に0.7%増にまで下落。続く4月、5月、6月も、それぞれ0.1%増、0.2%増、0%と低迷が続いています。

 2023年6月の社会消費品小売成長率は、5月の12.7%増から3.1%増と大きく減少。実物商品の小売高は4月の15.9%増から、5月の10.5%増を経て、6月には1.7%増にまで落ち込んでいます。飲食小売高の伸びも、4月に43.8%増でしたが、6月には16.1%増にまで下落しています。

 総じて、2023年上半期の消費は、各地でゼロコロナ政策による都市封鎖(ロックダウン)が敷かれていた2022年の同期と比べても、期待したほどの急回復を実現できていません。

 過去3年間のコロナ生活の後、今年の消費意欲はどの程度改善しているのか?アフターコロナの時代となり、新たな消費ニーズはどこに存在するのか?中国人は本当にお金を使いたがっているのか?消費習慣に影響を与えている要素は何か?先の見えないマクロ経済状況の下、企業はどのように市場を確保すればよいのか?

 今号ではこうした疑問を踏まえながら、マクロ経済、中国人の消費意欲、消費トレンドなどの観点から、2023年の消費を読み解きました。

 次にトレンドウォッチでは、コロナ後初の大型セールとなった「618」セールの結果から、消費トレンドを分析しました。

 毎年6月に開催される中国最大規模のネット大型セール「618」。中国の人たちにとって、自身の消費欲を解き放つ重要な年間イベントの1つとなっています。また同時に、毎年下半期の消費トレンドを読むための“風見鶏”の役割も果たしています。

 今年の618セールは、アフターコロナ初の大型ネットセールとして、各界から大きな注目を集めました。

 コロナで久しく抑圧されていた消費欲を存分に発散させるべく、天猫(Tモール)・淘宝(タオバオ)、京東(JDドットコム)、拼多多(ピンドゥオドゥオ)、抖音(ドウイン・TikTok)など、大手EC(電子商取引)プラットフォーム各社は、様々な特典を打ち出し、直接的で高いディスカウント率のセールを展開しました。

 その一方で、ユーザーはネットセールが常態化したこともあり、セールにより冷静な態度をとるようになっています。購入した商品をネットで見せびらかす人も減り、618セール自体が以前ほど大きな話題にならなくなっているのも事実です。

 ビッグデータ分析会社の星図数据(Syntun)によると、今回の618セールのネット取引総額は、前年比14.8%増の7,987億元でした。しかし、プラットフォーム各社は昨年同様に、正式な取引高を公表していません。

 Eコマースのトラフィックが飽和に達し、GMV(流通取引総額)の拡大が難しくなるなか、各社は数字を追いかけることをやめ、新興のブランドや新しいマーケティングモデル、新商品ジャンルや新サービスのデータのみを公表するようになっています。

 では結局のところ、今年の618セールの消費促進効果はどのようなものだったのか?アフターコロナの消費は本当に回復基調にあるのか?新たなマーケティングトレンドは何か?ユーザーが買ったものから読み取れる新たな消費トレンドは?今号ではこれらの疑問について整理と分析を行いました。

 あの頃の中国ビジネス&生活(その11)は、グローサラント熱一服で業態の多角化を迫られた
盒馬(フーマー)についてです。

 飛ぶ鳥を落とす勢いで、向かうところ敵なし…。上海や北京などの大都市だけでなく、内陸の武漢や重慶などにも店舗網を急拡大し、中国のスーパー市場はフーマーの独壇場かと思われた矢先、フーマーにも死角がありました。

 コト(体験)消費を意識した新鮮食材のグローサラント人気が一段落し、ネットで生鮮食品を買ってデリバリーしてもらうというライフスタイルも多くの人々に定着。実際に、アプリからの注文が全体の7〜8割を占めているともいわれているほどです。

 こうなってくると、「そもそも店舗は要らないじゃん」となるわけで、中国で「前置倉庫」と呼ばれるダークストア型のネットスーパーが続々と誕生。フーマーのパイを切り崩す刺客も勢力を伸ばしてくるなか、フーマーが取り組んだ打開策が、業態の多角化だったのですが…。

 そのほかにも、中国の消費やマーケティングに関するインサイト情報やデータが盛りだくさんです。

================
会報誌『中国消費洞察』 
2023年7&8月号(vol. 106)  もくじ
================

【巻頭特集】アフターコロナの中国消費トレンド洞察
コロナ下の消費ニーズ・トレンドが続く・・・
アフターコロナで中国消費はどこに向かうのか?

【トレンドウォッチ】618セール消費トレンド分析レポート
理性・節約志向の消費トレンドがますます顕著に
コロナ後初の大型セール「618」から中国消費を読み解く

【マーケティングコラム】あの頃の中国ビジネス&生活⑪
グローサラント熱一服で業態の多角化迫られる…
会員制倉庫型スーパーにも参入した盒馬(フーマー)



会報誌バックナンバー

2023年12月号 (vol. 110)
2023年12月号 (vol. 110)
・2023年中国消費トレンド番付
・中国RTD飲料業界分析
・中国版アマゾン・ゴー「簡24」
2023年12月号 (vol. 110)
2023年11月号 (vol. 109)
2023年11月号 (vol. 109)
・中国インスタント・コマース業界分析
・中国「家居」消費トレンド洞察
・「新小売」新業態の無人コンビニ
2023年11月号 (vol. 109)
2023年10月号 (vol. 108)
2023年10月号 (vol. 108)
・抖音電商(TikTok EC)分析
・アフターコロナのZ世代再考察
・「新小売」カフェのラッキンコーヒー
2023年10月号 (vol. 108)
2023年9月号 (vol. 107)
2023年9月号 (vol. 107)
・小紅書(RED)分析
・中国社会現象・トレンド分析
・「前置倉庫」型の叮咚(ディンドン)
2023年9月号 (vol. 107)
2023年7&8月号 (vol. 106)
2023年7&8月号 (vol. 106)
・アフターコロナの中国消費トレンド
・618セール消費トレンド分析
・業務多角化迫られた盒馬(フーマー)
2023年7&8月号 (vol. 106)
2023年6月号 (vol. 105)
2023年6月号 (vol. 105)
・中国フレグランス市場分析
・中国家計消費状況調査
・スマホ決済限定の盒馬(フーマー)
2023年6月号 (vol. 105)
2023年5月号 (vol. 104)
2023年5月号 (vol. 104)
・中国コラボマーケティング分析
・世代・地域別 中国消費者研究
・商品力でも勝負した盒馬(フーマー)
2023年5月号 (vol. 104)
2023年4月号 (vol. 103)
2023年4月号 (vol. 103)
・中国ウィメンズ市場調査分析
・中国食品・飲料業界調査分析
・スーパー業にコト(体験)導入
2023年4月号 (vol. 103)
2023年3月号 (vol. 102)
2023年3月号 (vol. 102)
・中国Z世代調査分析
・中国KOLマーケティング調査分析
・中国ネットスーパーの変遷
2023年3月号 (vol. 102)
2023年1&2月号 (vol. 101)
2023年1&2月号 (vol. 101)
・2023年中国消費動向分析
・中国4大ECプラットフォーム分析
・ネットスーパー普及の4つの背景
2023年1&2月号 (vol. 101)
もっと見る
pageTop