会報誌2014年11月号(vol.19)では、巻頭特集に円安・人民元高を背景に市場が一気に拡大している日中間の越境EC取引(海外ネット通販)「海淘(ハイタオ)」を取り上げました。
13年の中国越境EC取引額は前年比58.8%増の767億元、ユーザー数は1800万人となっていますが、18年にはそれぞれ1兆元、3560万人にまで膨れ上がると予想されています。
この急成長の原動力として、政府主導の越境ECプラットフォーム「跨境通」のほかに、アリババ系の「天猫国際」などが本格的にサービスを提供しはじめたことがあげられますが、やはりその背景にある中国人消費者の個性や多様性を求める消費嗜好の変化が最も重要なファクターとしてあげられるでしょう。こうした変化を踏まえながら、日本企業がどう立ち向かうべきかについて分析及び解説しています。
第二特集では「負け組」とも称され、ネットの流行語にまでなった「屌丝(ディアオスー)」と呼ばれる若者層の実態について迫りました。裕福な親世代の恩恵を存分に享受する「90後」(1990年代生まれ)がスポットを浴びるなか、同じ世代ながら「社会人」「貯金10万元以下」「家なし、もしくは自己資金で家を買えなかった」と定義される若者が、どのような仕事・趣味・消費・家族感を抱いているのか、また彼らに対してどのようなアプローチが可能かについて分析しています。
業界&企業分析では、ネット通販の隆盛の影響をもろに受ける百貨店業界で、中堅ながら時代の変化を的確に捉え、常に自己改革を行いながら独自性ある店舗経営を行う銀泰商業(本拠:浙江省)を取り上げました。
業界初の自社女性アパレルブランドを立ち上げ、自社のECサイト立ち上げだけでなく、アリババ系の「天猫」にも出店し、敵対するネット通販を逆手に積極活用するという戦略をとる同社の取り組みについて調査・レポートしています。
トレンド・ウォッチでは、深刻な大気汚染が続く中国の街角でエコを意識した乗り物が増えつつあるというお話。代表格が13年に北京にショールームを開設して予約を開始し、14年に正式販売を始めた高級スポーツ電気自動車(EV)「テスラ」。中国市場での14年の販売台数は5000万台を超え、世界販売の約1/3を占めているそうです。
この「テスラ」とともに日米欧の各自動車メーカーがエコカー販売に力を入れていますが、充電ステーションなどインフラの整備も課題として挙げられています。そうしたなか、インフラ整備も不要の手軽なエコな乗り物が人気を集めているようですが、その正体とは…。
現地企業のインタビューでは、空気や水の汚染により「健康」への意識がさらに強くなる中国において、ダニアレルギー患者が増加傾向にあります。中国人の1/3が何らかのアレルギー症状を患っており、その60~70%の原因がダニという統計もあります。
そうした状況を背景に、世界初のふとん専用ダニクリーナーを開発し、日本でも人気のあるレイコップ社販売マネージャーの顧氏に、中国での取り組みや戦略についてインタビューしました。
そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。
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ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』
2014年11月号 vol.19 もくじ
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【巻頭特集】中国最新マーケティング
『海外から直接「お取り寄せ」、日本企業にも勝機』
越境EC「海淘(ハイタオ)」の現状と最新動向
【第2特集】中国最新マーケティング
『経済発展の中での「負け組」世代とは?』
孤独な若者層の消費スタイルを探る
【第3特集】チャイナ・リサーチ 業界&企業分析
『ネット展開とモール化に活路を見出す銀泰商業』
中国の従来型百貨店の新たな取り組み
【トレンド・ウォッチ】現地の最新商品&サービス
『テスラの対抗馬は電動キックボード?』
エコ意識が高まる中国の新エネ車事情
【インタビュー】中国ビジネス最前線 ~現地企業のキーパーソンに聞く~
『ふとんクリーナーの普及目指すレイコップ』
健康意識高まる中国のクリーナー市場
【都市別調査】都市別マーケティングレポート 鎮江 編
『待たれる商業の発展 大市口商圏に買い物客集中』