会報誌2017年3月号(vol.42)では、巻頭特集にネットスーパー、特に生鮮品のネット販売市場を取り上げました。スマートフォン(スマホ)の普及に伴い、アプリを介したネットビジネスが急速に広まる中国。ネット通販はもちろん、タクシー配車から出前代行、シェア自転車と応用範囲が広がっていますが、いよいよ生鮮食品もアプリから購入して自宅まで届けてもらうのが当たり前の時代になろうとしています。
実際に中国の生鮮食品のネット販売は2012年から発展が始まり、市場規模は当初の40億元から15年は542億元、16年には913億元にまで拡大。その勢いはとどまることを知らず、17年には1449億元に、そして19年には3506億元に達すると予想されています。
20年にはオンラインの生鮮品の売上高が、都市部の総消費の15~25%に達するとも予測されている中、同市場の主要プレイヤー(プラットフォーム)各社の状況、ユーザー層、売れ筋商品カテゴリ、利用する理由や懸念事項、発展する上でのハードルなどを分析。
さらに、ネットスーパー運営会社の9割が赤字といわれている中、革新的なO2Oモデルで会員制リアル店舗を倉庫及び配送センターとしても活用、現在業界内外から注目を集めているネットスーパーの「盒馬鮮生」について、その運営モデルから配送及び商品管理の仕組み、さらにはビッグデータの活用方法などについて調査・分析しています。
次は、広東省・深センの消費現場視察レポートです。1992年から始まる改革開放の先鋒として、中国経済の現代化と急成長を先導した深セン。16年のGDPは1兆9492.6億元、1人当たりGDPは16万7000元となっており、都市別では上海、北京、広州に続き第4位。
中国でも有数の民間企業がこの地から生まれており、QQや微信などネットサービスを手がける騰訊(テンセント)から通信設備やスマホの華為(ファーウェイ)、EV(電気自動車)の比亜迪(BYD)、さらには商用ドローン(無人航空機)の世界シェア70%をも占めると言われているDJI(大疆創新科技)など、世界でも通用する技術やアイデアを併せ持つ企業や人材が多く輩出されています。
このように製造業やITなどにスポットライトが当たる深センですが、意外にもこれまで消費現場についてそれほどレポートされていないように思います。そこで、今回改めて深センの3大主要商圏である「羅湖」「福田」「南山」を視察、中国を代表するモール「万象城(MIXC)」を筆頭に、新旧の注目商業施設を紹介しています。
アパレル系チェーン店のトップから「中国の中でも極めて特殊、いまや日本や香港と同じマーチャンダイジングで通用する唯一の都市」と評される深セン。中国政府が目指す消費主導型経済の“あるべき姿”を垣間見たようにも感じられた消費現場のレポートは必見です。
中国コンビニ最前線レポートでは、先月号に続いて江西省の省都・南昌のコンビニ事情について。地元政府からの手厚いサポートを背景に、市内では新規店舗の開店ラッシュが続く中、最も勢いがある「楽豆家」をピックアップ。
緑と青をベースとした店構えに「F」から始まる英語名「FunBean’s」が、一見「南昌にも全家(ファミリーマート)が進出?」と見間違えるほどよく似ています。
11年に、地場系の老舗食品企業である江西嘉徳食品有限公司が全額出資して設立。12年に第1号店をオープンし、店舗数は16年10月時点で85店超。店内は明るく清潔で、商品の陳列方法も上海や北京で目にする日系の現代的なコンビニと遜色ないレベルに達する同社のブランド及び立地戦略、また運営体制について紹介しています。
そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。
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ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』
vol.42(2017年3月号) もくじ
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【巻頭特集】
『新しい商業モデルをリードする「盒馬鮮生」』
生鮮ネット販売業界~高品質と利便性が急成長の推進力
【現地視察レポート】広東省・深セン
『香港とソフトパワーで消費主導型経済のお手本に』
深セン消費現場視察レポート
【小売・流通現場】中国コンビニ最前線レポート
『新興勢力が続々と開店、サービスを充実させて、店の個性を競い合う』
南昌のコンビニ市場をリードする「楽豆家便利店」
【都市別調査】
スマホの次は「紙」〜フィナーレ
『ネットも介して広まる手帳 個性際立つ新型書店』