会報誌2017年4月号(vol.43)では、巻頭特集にアパレル業界を取り上げました。中国各地の商業施設を見て回ると、必ず目にするのが数多くのアパレルブランド店舗。以前は多くの客で埋まっていたのですが、最近はどこの店舗も閑古鳥が泣いている状況。景気減速による需要の落ち込みなのか、またはネット通販に需要を喰われているのか…。理由は幾多もあげられますが、アパレル業界の低迷が特に顕著です。
実際に、16年の国家統計局が発表する全国社会消費品小売総額のアパレル類は、1兆218億元で6.8%増。14年までの2ケタ%増の勢いはなく、GDP成長率とほぼ同じ水準となっています。市況の低迷を背景に、アパレル製品の販促セールが至るところで常態化している中、同業界はどこに向かおうとしているのでしょうか。
リアル店舗からネット通販へのシフト、ネット通販専業ブランドの隆盛、高級生地採用による差別化、「新小売」時代を先取りするセレクトショップの台頭、健康ブームの波に乗るスポーツアパレルなど、中国アパレル業界の現状と動向について、好調を維持するユニクロやMUJI(無印良品)など日系各社の状況も踏まえながら調査・分析しています。
トレンドウォッチでは、最近話題の“網紅店”(クチコミ人気店)についてです。情報収集の手法がテレビやラジオ、雑誌など伝統的なメディアからネットへとシフトしているのは世界的な趨勢です。特に中国では、スマホ普及に伴い、微信や微博などSNSが新たな情報拡散の手段として影響力を高める中、こうしたSNSのクチコミで人気に火がついたグルメや飲食店が目立つようになってきました。
上海でも屈指の賑わいを見せる人民広場の人気商業施設「ラッフルズシティ(来福士購物中心)」。平日の午後ながら、入口附近に特設された行列のためのスペースに数百人の行列ができています。その行列の先にあるのは、「HEYTEA 喜茶」という名の茶飲料専門店。1杯のアイスティーを手に入れるため、少なくとも2~3時間、ひどい時には6~7時間並ぶことも。
一方、その向かい側の歩道にも、北京発の伝統菓子店「鮑師傅」の前に長い行列が…。こうした人気爆発の原動力になったのが、微信によるクチコミの拡散です。中国で成功するための一要素ともなったSNSでのコミュニケーション戦略について、喜茶のケーススタディとともに調査・分析しています。
中国コンビニ最前線レポートでは、ますます広がるコンビニ経済圏について。中国商務省によると、16年の小売売上高は前年比10.4%増。そのうち、ネット通販、コンビニ、ショッピングセンターの伸びが顕著で、それぞれ25.6%、7.7%、7.4%の成長でした。15年の13.2%増から比べると若干成長スピードが鈍化したコンビニですが、20年までは8〜10%の成長を維持するとも予想されています。
少し前までは、買い物といえば定期的にスーパーでまとめ買いをすることを習慣にしている消費者が多かったのですが、最近では、若い消費者を中心に大口の買い物はネットで、日常のちょっとしたニーズは近所のコンビニで済ますというのが主流になっています。そうした中、大手スーパーチェーンや百貨店もコンビニ業態への進出を加速する動きが顕著になってきていますが、それら企業の取り組みとは…。
そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』
vol.43(2017年4月号) もくじ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【巻頭特集】
『「新小売り」時代への対応急ぐ
消費の高度化でセレクトショップなどが台頭』
中国アパレル業界最新動向
【トレンドウォッチ】
『“網紅”経済の視点で見る中国の消費アップグレード』
「HEYTEA 喜茶」が火をつけた行列ブーム
【小売・流通現場】中国コンビニ最前線レポート
『ネット通販との提携 生活サービスの拡充で2桁増の成長目指す』
大手スーパーなどもコンビニ業態への進出拡大を積極化
【都市別調査】
水、TV、10元ショップ ~ その①
『一見ばらばらな3分野 成功の共通項は』