会報誌2017年9月号(vol.47)では、巻頭特集に中国「世代論」を取り上げました。78年から始まる改革開放政策により、急成長を遂げた中国経済。成長とともに人々の所得や生活水準も向上する中、消費や価値観、ライフスタイル、ニーズも目まぐるしく変化してきました。
もちろん経済成長の度合いにより、沿岸部と内陸部、一線と二・三線級都市などの間で、こうした変化のスピードや幅には差があるものの、マーケティングの観点から中国消費の「今後」を占ううえで、注目され分析・議論されているテーマの一つが「世代論」でしょう。
日本でも戦後の政治・経済の変遷やイベントを節目に、「団塊」や「新人類」、「団塊ジュニア」、「ゆとり」世代などと区分して論じることが多々ありますが、中国では生まれた年代をベースに「80後(ホウ)」や「90後」、つまり「1980年後の80年代に生まれた」世代など10年単位で区分されます。
これまで中国での世代論研究は、まず“一人っ子”世代の「80後」にスポットライトが当たり、後付け的に「60後」や「70後」にも言及。さらにここ数年は「90後」が注目され、今後は「00後」が研究分析対象として注目されつつあります。もちろん、どの世代も学生から社会人になり、結婚、出産、子育てと同じ人生の歩みをたどるわけで、それぞれ子供を中心とした家庭のための消費が中核となるのですが、各世代が生まれ育った中国経済及び社会の状況や変化、ネットやデジタル機器の普及などにより、価値観やライフスタイルに差異があるのも実状です。
また更には、若い世代だけでなく、経済的にも時間的にも余裕がありながら健康的で精力的な“若い”高齢者、つまり「アクティブシニア」とも呼べる60後世代が、今後の消費マーケットで無視できない存在感を示し始めています。拡大が続く中国消費市場攻略が命題とされる日本企業にとっても、こうした世代論的な研究分析に基づく洞察やトレンド予測力を高め、多様化するニーズに対応していく必要があるでしょう。
そこで今回、少子化と高齢化が同時進行する中国全体の人口問題を踏まえながら、50後から00後の各世代の背景や特徴を詳細に考察し、今後の消費トレンドや発展の可能性について分析しました。
次に、業界研究では、「見た目重視」や「ちょっといいもの」を追い求める「消費のアップグレード」トレンドを背景に、中国各地で爆発的な成長を見せる中国風茶飲料業界をピックアップしました。
ユーロモニターの統計によると、16年の中国のコーヒー及びその他飲料販売店の売上は前年比8.2%増の926億元。なかでも「その他の飲料店(スイーツショップ、各種ドリンクバー、ミルクティーチェーン、従来型茶芸店、新型中国風茶飲料店等)」の販売額は14.5%増の413億元、21年には779億元に達すると見込まれるなど、急成長を見せる中国茶飲料。
会報誌17年4月号で紹介した超人気の網紅(※ネット口コミ人気)店である「喜茶(HEYTEA)」を筆頭に、最近中国の各地で同じような“お洒落”で“ヘルシー”な茶飲料専門店が続々誕生。彼らに共通するのは「見た目の良さ」と「ハイクオリティ」で、中国若年層の「消費のアップグレード」ニーズの高まりを反映しているともいえます。
そこで、中国茶飲料チェーン業界の発展経緯や消費者の趣向の変化などについて全体をおさらいしたうえで、最近流行りの中国茶飲料の注目チェーン店である「一点点」、「inWE因味茶」、「恋暖の初茶」、「芭依珊813」、「奈雪の茶」、「米芝蓮」、「TPLUS茶家」について、各店の人気の秘訣や成功の背景について調査・分析しました。
中国コンビニ最前線レポートは、中国ネット通販プラットフォーム大手の京東(JD.com)が、今後5年間で中国全土に100万カ所以上オープンさせると発表した「京東コンビニ」について。
ネット取引実績の成長率が14年の107%から15年は84%、16年は47%と減速傾向にあった京東は、このコンビニ100万店計画をベースに、農村地域に多く見られる従来型の“パパママ”商店を現代型モデルへ転換。同時に、京東のネット販売を農村市場にまで浸透させ、オフラインとオンラインを融合させた新しい運営モデルを目指そうとしています。
京東のネット通販で培ってきた運営ノウハウやサポート体制、商品の仕入れルートに物流網をベースとして、農村部でコンビニ店舗網を広げることで、ネットとリアルの両取りを目論む京東コンビニの動向について考察しています。
そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。
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ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』
vol.47(2017年9月号) もくじ
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【巻頭特集】
『今後10年の消費を左右する90後と00後
大きな潜在消費力を持つシルバー世代』
中国世代論「50・60・70・80・90・00後」徹底分析
【業界研究】中国茶飲料業界
『「消費のアップグレード」が牽引、新・中国風茶飲料業界が爆発的成長』
「お洒落」「ヘルシー」「見た目」がキーワード
【小売・流通現場】中国コンビニ最前線レポート
『ネットとリアルを融合 100万ヶ所の店舗を5年間でオープン予定』
中国EC大手の京東(JD.com)が仕掛ける「京東コンビニ」店
【都市別調査】
山西省・太原
『新エネ車推進で大気改善 消費動向にも新風』