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月刊会報誌『中国消費洞察』

2018年4月号 (vol. 53)

月刊会報誌『中国消費洞察』2018年4月号 (vol. 53)
 会報誌2018年4月号(vol.53)では、巻頭特集に最近中国の若者たちの間で大流行しているミュージック動画アプリ「抖音(Tik Tok)」を取り上げました。1つの動画はわずか15秒間のみ。他人が投稿したショート動画を再生して鑑賞するだけでなく、自ら撮影・加工して投稿する楽しみ方が広く支持されているようです。

 2016年9月に正式運営をスタートした抖音。17年8月の時点で、1年も経たずに1日の動画再生回数が10億回を突破。17年末には、アップルApp Storeの無料アプリランキングでトップに立ち、現在もその地位を維持。18年の春節(旧正月)期間中に、1日のアクティブユーザー数が6646万人に達したという統計もあり、いまや、中国では多くの若者が“魔物に取り憑かれた”かのように抖音に魅了され、連日深夜まで動画閲覧に夢中になっています。

 音楽、ファッション、クールさといったものを追求するスタイルを前面に押し出す戦略で、一線・二線級都市の若者を主要ターゲットにしてきた抖音。最近は「都市→田舎」へと拡がりも見せています。ユーザー全体の66%が女性。24歳以下、つまり95後(1995〜99年生まれ)と00後(2000年代生まれ)世代の割合が75.5%にも達し、30歳以下だと実に92%と多数を占めています。

 では、なぜここまで若者から支持されるのでしょうか。もちろん、その理由はいくつかありますが、特に注目すべき点は、一般ユーザー「参加型」だからでしょう。つまり、一見難しそうな動画制作ですが、それをスマホで簡単に撮影から編集・加工と、ある意味「ボタンひとつ」で可能にした機能の数々。

 一方で、動画に欠かせない音楽(BGM)も、それぞれ参考となる表情や振り付けの「サンプル」動画が用意されています。多くのユーザーがそうしたサンプルを参考に、全く同じ動作をするだけでなく、独自のアレンジやアイデアを加えるなどし、無数のオリジナル動画コンテンツが日々生まれています。

 そうした無数の動画は、みな“平等に”扱われます。つまり、人気芸能タレントの投稿や企業広告動画が優先して再生されるわけではありません。またこうした広告も「プロダクトプレイスメント」、つまり“広告に見えない広告”の方式で作成されており、数あるコンテンツの一つとして視聴されます。

 レストランやモール、地下鉄など、中国全土でスマホ片手に抖音を見ながら笑っている若い人たちの姿をよく目にします。抖音の動画から人気爆発したミルクティーや火鍋メニューなど、広告媒体としての存在感も日に日に増しています。単なる一過性のブームとして侮れない抖音について、日本企業も周知しておく必要があるでしょう。

 よって、今号では、こうした抖音の人気の秘訣だけでなく、中国ショート動画市場の実態、動画の選出方法や作成(編集・加工)の仕組み、芸能人を起用した広告宣伝や各種企画イベントの仕掛け方、競合アプリ「快手」との比較、広告媒体としての事例、広告形態と価格、プロダクトプレイスメントの広告手法、各企業の抖音オフィシャルアカウントの運営、巷で話題の「抖音同款」メニュー、海外への波及、そしてショート動画業界が直面する試練などについて、調査・分析しています。

 次に、トレンドウォッチでは、15年以降、急成長する中古不用品市場を取り上げました。中国のアプリマーケットで「閑置(不用品)」と検索すると、不用品取引関連のアプリが数十種もひしめいているのを目にします。これらはいずれも、ここ2年ほどの間に運営をスタートしたアプリばかり。

 あるレポートで、中古不用品市場のユーザー規模は、14年に158万人だったのが、15年は1107万人、16年に2880万人と急増。17年末の時点で、4000万人近くにまで急伸し、モバイルユーザーへの浸透率も3.6%に到達。18年には、これが5000万人に達するとされています。

 この巨大な潜在性を有する有望市場に対して、中国ネット業界をリードするアリババと騰訊(テンセント)系の大手2社が火花を散らしています。前者がアリババグループ傘下で「淘宝二手」の進化系である「閑魚(2.taobao.com)」。後者が、中国最大手のクラシファイド広告サイト「58同城」とスマホSNSの微信(ウィーチャット)が共同で運営する「転転(zhuanzhuan.58.com)」。この2社が市場シェアの約90%以上を占め、中国中古不用品取引の業界をリードしています。

 そこで今号では、この2つのアプリを徹底調査。アリババグループの優位性を生かして成長する閑魚の現状とともに、「魚塘(魚のいる池)」と称される多種多様なコミュニティグループやSNSの活用、中古品取引の安心・安全を高めるための各種身分認証、芝麻信用スコアを利用した「信用速売」サービスなど、淘宝(淘宝網)と天猫(Tモール)に次ぐ、“第3”の「1兆元」規模のプラットフォームを目指すアリババの取り組みについてまとめました。

 一方、圧倒的なユーザー数と影響力を誇る微信をバックに擁しながら、閑魚とは異なり、社交(SNS)的要素よりも、中古品取引自体とその関連サービスにより重きを置いている中古不用品取引ナンバー2の転転。中古スマホ販売で業界トップを可能にした「転転優品」や58同城との連携、微信内で動く小程序(ミニプログラム)「転転二手交易網」の活用、各種ユーザーの身分認証など、中国フリマ市場やユーザー像、人気の商品ジャンル、今後の動向とともに洞察しました。

 中国コンビニ最前線レポートは、アリババ創業者のジャック・マー(馬雲)氏が16年に提唱したオムニチャネル概念「新しい小売」の新形態として注目を集める「オフィスコンビニ」について。オフィスの空きスペースに設置された商品の陳列棚で、冷蔵棚や冷凍ボックスを置くケースも。支払いはスマホ決済の微信支付(ウィーチャットペイ)や支付宝(アリペイ)を利用します。

 コンビニの一部をオフィス内に導入することで、人が動くのでなく、商品を売れる場所に動かすという新たな消費シーンを生み出したオフィスコンビニ。ベンチャーキャピタルの活発な参入もあり、18年にかけてさらなる飛躍が期待されていますが、実際にはリストラや営業停止を発表する企業もあり、先行きが不安視されています。主要ブランド一覧とともに、オフィスコンビニの現状についてお伝えしています。

 そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。

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ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』 
2018年4月号(vol.53)  もくじ
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【巻頭特集】
『いま話題のミュージック動画アプリ「抖音(Tik Tok)」
 わずか15秒のショート動画が中国の若者を魅了

【トレンドウォッチ】
『中国2大“フリマアプリ” 「閑魚」「転転」徹底分析』
 中古品取引が90後世代の若者に大人気

【小売・流通現場】中国コンビニ最前線レポート
『巨額な資金が流れ込む新たな商業モデル「オフィスコンビニ」』
 「新しい小売」の新形態で注目を集めるも、事業の先行きには不安も

【都市別調査】
広東省都市めぐり 〜その③
『河畔の賑わい、文芸消費 進化する中山市の商業』


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