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月刊会報誌『中国消費洞察』

2018年11月号 (vol. 59)

月刊会報誌『中国消費洞察』2018年11月号 (vol. 59)
 会報誌2018年11月号(vol.59)は、一般家庭への普及が進む中国「スマートホーム(智能家居)」業界にスポットライトを当てました。

 スマートホームとは、家庭内の電化製品や情報家電製品をネットワークでつないで一括管理・コントロールし、エネルギー利用の最適化や音声による操作など、快適なライフスタイルを実現する住まいのこと。近年、中国でもIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどが各界で注目を集める中、中国政府も重点的に発展を促す新興産業分野の一つとして、各種政策で支援や達成目標を発表しています。

 中国で「スマートホーム元年」と呼ばれているのは2014年。ハイアールや美的(Media)といった中国家電メーカー大手各社が、相次いでスマート家電製品をリリースしたからです。その後、スマートフォン(スマホ)大手の小米(シャオミ)、ネット大手のアリババやバイドゥ(百度)などが参入。数多くのスタートアップ企業も続々と誕生し、ベンチャーキャピタルなど投資市場も活発化しています。

 景気減速により、活気に陰りが見える中国不動産市場。しかし、実際には中国統計局によると、住宅施工及び竣工いずれの面積指標は、13年以降堅調に推移しているとのこと。それ以前の不動産黄金期に取引された大量の住宅含め、新規内装や改装のニーズは依然旺盛と言えるでしょう。

 このようなニーズを背景に、「消費昇級(アップグレード)」という少々割高でもより良いモノを求める消費トレンドにも支えられ、スマート家電やインテリアなどを導入する家庭が増えつつあります。特に住居購入者の主力層が、90後(1990年代生まれ)を中心とした若い世代に移り変わる中、新しい技術や機能、また慣れ親しんだスマホとの連動性などに強く興味を惹かれるユーザー層が増えつつあります。

 そうした市場醸成の火付け役となったのがスマート(AI)スピーカー。17年後半から、各業界の大手企業が続々と同市場に参入し、熾烈な主導権争いを演じています。特にアリババの「天猫精霊」や小米、百度などのネット・IT大手が相次いで数百元の特価キャンペーンを展開、18年に販売が急増し、一気に家庭への普及が進みました。

 スマートホームの入口(ゲートウェイ)としても注目されるAIスピーカー。その普及とともに、中国全土でスマートホームへの関心も高まり、多くの企業が本格参入を果たします。特に従来の家電製品では大きな需要が見込めなくなり、新たな成長戦略が迫られていた既存の家電メーカー。今号ではハイアールと美的(Midea)の取り組みを紹介。またネット・IT大手のアリババ、百度、小米のほか、新興のスタートアップ企業であるBroadLink、ORVIBO、LifeSmartの3社の詳細、さらには、注目のスタートアップ企業約100社の一覧も付け加えています。

 官民挙げての産業育成が図られている中国スマートホーム業界。新しモノ好きな中国消費者からの旺盛なニーズを背景に、新たな家電領域としても花開くのか。中国政府の重点産業発展項目としても選ばれており、今後の動向含め要注目です。

 トレンドウォッチでは、18年に10年目を迎えたアリババ「双11(独身の日)」セールについて取り上げました。中国の電子商取引(EC)業界にとって、1年1度の大セール「双11(ダブルイレブン)」。中国EC最大手のアリババ傘下の天猫(Tモール)が、11月11日当日の取引額2135億元を記録し、前年実績の1682億元を更に大幅に更新したことは、すでにご存知の方も多いでしょう。

 業界2位の京東(JDドットコム)も、11月1日から11日までの11日間で累計1598億元となり、これまでの記録を更新。家電量販最大手の蘇寧易購(スニン)は、わずか97分で昨年1日分の売上を達成。リアル(店舗)とネットを合わせた注文件数は前年比132%増となりました。急成長する越境ECプラットフォームの網易考拉(コアラ)は、229秒で1億元の売上を記録。78分で昨年1日分の取引額を超えるなど、多くの新記録が誕生した10年目の「双11」。

 当初、アリババが独身者を対象にネット通販を促す目的で、淘宝(タオバオ)で開催したこのセールは、今や中国のオン・オフライン両市場を巻き込み、海外にも影響を与える巨大イベントと化しました。こうした記録とともに、各社から発表される売れ筋ランキングや消費者像、さらに新しいトレンドなどは、中国小売業界や消費の「今」を知るうえで、重要な手がかりともなっています。

 そこで今号では、各社の実績とともに、品目別の販売状況とブランドのランキング、越境ECの状況、進化を続ける物流の実態、拼多多(ピンドウドウ)の躍進とともに新たな競争の主戦場となったグループ購入、リアル店舗も巻き込んだ「新小売」商法、リピート率向上と優良顧客囲い込みの有料VIP会員制度、ローンを組んで消費を優先させる若者世代と存在感増すシルバー世代、消費力が急伸する三・四線級都市の状況などを踏まえながら、この10年で中国消費を大きく変えた「双11」セールの功績に迫りました。

 そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。

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ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』 
2018年11月号(vol.59)  もくじ
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【巻頭特集】
『一般家庭に普及進む、中国スマートホーム』
 IoTとAIの発展が業界を底上げ

【トレンドウォッチ】
『「双11」から読み解く中国消費の変化とトレンド』
 10年目を迎えたアリババ「双11」セール

【小売・流通現場】中国コンビニ最前線レポート
『ペット市場が急成長 便利と体験が売りの専用コンビニも登場』
 ペットの“家族化”が中国で浸透

【都市別調査】
茶館と網紅のマジック ~フィナーレ
『豊かな社会の喪失感 埋めるは異世界の発見』


会報誌バックナンバー

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2023年11月号 (vol. 109)
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2023年10月号 (vol. 108)
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2023年7&8月号 (vol. 106)
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・ネットスーパー普及の4つの背景
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