中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
月刊会報誌『中国消費洞察』

2019年9月号 (vol. 67)

月刊会報誌『中国消費洞察』2019年9月号 (vol. 67)
【トレンドウォッチ】中国スナック食品
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「網紅」スナックが大人気
 間食にも「健康」と「個性」を求める
【マーケティングレポート】コンビニ発展状況は
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店舗数2桁成長 総合首位は長沙
 会報誌9月号(vol.67)では、巻頭特集で家電量販からEC、モール、スーパー、コンビニへと業容を拡大する「蘇寧(スニン)」を取り上げました。1990年設立で、現在は中国国内でオンラインとオフラインを融合させるOMO(Online Merges with Offline)概念の「新小売(ニューリテール)」をリードする最先端の企業の1つでもあります。

 エアコンの卸売から身を起こし、家電量販のみならず、中国小売流通チェーン企業全体でも見事トップにまで登りつめた蘇寧。2018年、蘇寧控股(ホールディングス)集団は営業収益5,579億元を記録。華為(ファーウェイ)に次いで、中国企業ランキングトップ500の第2位にランクインしました。

 蘇寧控股は傘下に蘇寧易購(Suning.com)をはじめ、蘇寧物流、蘇寧金融、蘇寧科技、蘇寧置業、蘇寧文創、蘇寧体育、蘇寧投資の8つの子会社を運営。業務範囲は小売や消費だけでなく、金融や不動産開発、スポーツなど各分野に及んでいます。

 なかでも、家電量販とEコマースプラットフォーム運営を主体とし、消費者にも広く知られている「蘇寧易購」。2019年に、中国の大手不動産ディベロッパー「万達(ワンダ)」集団傘下の万達百貨のほか、仏スーパー大手「カルフール」の中国事業も相次いで買収。これは中国小売流通業界にとって大事件であり、蘇寧は大きな注目を集めることになりました。

 創業から30年近くを経て、当初のオフライン業態からオンラインへの進出を果たし、更にオンラインとオフラインを融合させた「スマート小売」へと転換を続ける蘇寧。その成長の軌跡は中国小売業界の発展の歴史そのものとも言え、今や、中国で最も成功した小売企業の1つといっても過言ではないでしょう。

 アリババや京東(JDドットコム)とは異なり、リアル発で「リテール王国」を目論む蘇寧について、家電量販プラスECの「蘇寧易購」、コンビニ「蘇寧小店」、地方のパパママショップ(零細小売店)に商品調達及び店舗運営システムを提供する小売加盟店「蘇寧零售雲店」、自動化・無人化を進める「蘇寧物流」、金融界でも頭角を現す「蘇寧金融」、伊セリエAのインテルを傘下に収める「蘇寧体育」、最近流行りのソーシャルコマース「蘇寧拼購」「蘇寧推客」「蘇小団」、家電PB(プライベートブランド)で人気の「小Biu」シリーズなどについて解説しています。

 次にトレンドウォッチで扱ったのが、スナック食品市場について。中国経済の急成長により、2013年に1万8,311元だった中国人の平均所得は2018年に2万8,228元に達しました。その結果、消費ニーズが多様化し、より良いモノ(サービス)を求める「消費昇級(アップグレード)」トレンドも生まれました。

 食品に対するニーズも、空腹を満たすだけのものから、「個性」、「レジャー」、「健康」などをキーワードに多様化する中、スナック食品(菓子)の人気も急上昇。2011年から18年に、中国のスナック食品市場は年平均成長率12.3%で拡大。18年の市場規模は1兆297億元に達したもようです。

 一方、スナック食品の1人当り平均消費額は、イギリスやアメリカに遠く及ばず、日本や韓国と比べても、それぞれ中国の6.9倍と2.8倍の大きさ。中国のスナック食品の潜在的市場は相当大きいといえるでしょう。

 この成長著しいスナック食品について、中国人消費者の趣向や購入理由、販売チャネル、主要消費者層、低糖・低カロリーブーム、成長著しいナッツ類と栄養補助食品、個(少量)包装が流行りの「一日分のナッツ」、「消費昇級」が後押しする輸入スナック食品人気、若者に人気の「網紅」食品について解説しています。

 業界研究では中国スーパー業界をピックアップしました。ここ数年、Eコマースやコンビニなどの台頭で、大幅な業績低下に苦しむ中国スーパー業界。閉店した店舗も少なくなく、国有企業をバックグラウンドに持つ聯華超市を例にとると、2015年~18年に閉店した店舗の数は1,945店に上ります。

 かつて、カルフールやウォルマートなどの大型スーパーに行くことは、一般家庭の日常行為の1つでした。しかし現在、スーパーはどこも閑古鳥が鳴き、週末でさえかつての賑わいは見られず、訪れているのはネットで買物をしない高齢者ばかり…。

 こうした状況が更に深刻なのが外資系スーパーです。2013年にはイギリス系のテスコが華潤創業に買収され、中国国内135店舗全てが「華潤万家」に改称されました。17年には韓国系のロッテマートが東北地区の21店舗と華東地区の72店舗を中国系の物美と利群に売却。19年6月には蘇寧易購が仏スーパー大手カルフールの中国事業の株式80%を買収し、筆頭株主に。最近もドイツ系大手メトロの中国業務売却の噂が流れ、永輝か物美による買収が囁かれています。

 米スーパー大手ウォルマートの業績も理想からは程遠く、2016年~18年には各年13店、24店、21店を閉店。純利益と利益率も減少が続いています。市場シェアも2010年の11%から18年には5%と半減しています。

 このような背景を踏まえながら、Eコマースとコンビニ台頭による「ミニスーパー」化、アリババやテンセントなどネット大手各社による参入、宅配アプリへの出店による既存スーパーのEC化、盒馬の成功で急増する「スーパー+飲食」モデル、無店舗の「前置倉庫」によるネットスーパーなどについて解説しています。

 そのほか、以下のとおり、中国消費やマーケティングに関する情報が盛りだくさんです。

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会報誌『中国消費洞察』 
2019年9月号(vol.67)  もくじ
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【巻頭特集】「蘇寧」徹底研究
家電量販からEC、金融、コンビニへと多角化
中国「スマート小売」をリードする蘇寧の実力検証

【トレンドウォッチ】中国スナック食品
「網紅」スナックが大人気
間食にも「健康」と「個性」を求める

【業界研究】中国スーパー業界
目まぐるしく変わる業界地図
アプリ注文+宅配が“マスト”の時代に

【マーケティングレポート】
コンビニ発展状況は
店舗数2桁成長 総合首位は長沙


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