中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
月刊会報誌『中国消費洞察』

2020年1&2月号 (vol. 71)

月刊会報誌『中国消費洞察』2020年1&2月号 (vol. 71)
 会報誌2020年1&2月合併号(vol.71)では、巻頭特集で中国の「養老」産業の現状と今後の動向について洞察しました。

 中国国家統計局は、2018年に中国国内の60歳以上の人口は2.5億人で全体の17.9%を、また65歳以上の人口は1.6億人で全体の11.9%を占めたと発表しました。

 また国連のWHO(世界保健機関)は、2050年に中国の人口の35%が65歳超となり、世界で最も高齢化が深刻な国の1つになると予測しています。

 ちなみに60歳以上の戸籍人口のランキング(2017年末)を省別に見ると、トップは北京市で老齢化率は24.5%。天津市(22.43%)と遼寧省(22.65%)がこれに続き、全体で8つの省及び直轄市が高齢化率20%以上となっています。

 こうした高齢化の深刻化に伴い、中国で高齢者向けの医療・介護から関連施設、製品、サービス、人材育成など業界全般を広義に称する「養老」産業が急成長しています。中国調査会社の前瞻産業研究院によると、2018年の中国の養老産業の市場規模は6.6兆元(約105兆円)、24年には10兆元(約160兆円)に達すると見込まれています。

 (※日本の高齢者向け市場規模は、みずほコーポレート銀行の調査によると、2007年の62.9兆円から、2025年には101.3兆円にまで伸びると予測されています。)

 中国民政部の統計によると、2019年6月末時点で、中国国内の各種養老専門の施設の数は約3万ヶ所。「社区」(※中国独自の行政単位をベースとした地域コミュニティ)に付設している養老サービス施設は14.34万ヶ所に達しているもよう。

 一方、ベッド数は合計735.3万床で、高齢者100人あたりで換算すると3床となりますが、これは国際基準である100人あたり5床を大きく下回っている状況です。高齢化が急速に進むなか、養老施設の新規設立やベッド数が大きく増加する潜在性を秘めているといえるでしょう。

 こうした状況を背景に、中国では官民挙げての「養老」産業振興が活発化しています。そこで今号では、中国政府の奨励策から中国人の介護に対する意識の変化、在宅ケアや遠隔「見守り」市場の現状、養老施設の収益モデルについて調査。また高齢者向け産業の構造や主要企業、政府主導の「社区」型養老のほか、同市場への参入に積極的な不動産大手や保険会社の動向も掘り下げています。

 さらには、巨大な潜在性を秘めた中国高齢者向け市場を前に、虎視眈々と事業展開を進める外資系、特にアメリカ、フランス、日本、韓国系各社の取り組みについても詳しく分析しています。

 次のテーマは、2020年の中国消費トレンド予測についてです。前号で発表した2019年の「中国消費トレンド番付」を参考にしながら、特に日本企業が中国事業の中長期計画を練る上で“知っておくべき”という視点から15個のトレンドをピックアップしています。

 中国国家統計局は、2019年1月から11月の社会消費品小売総額(小売全体)が前年比8%増の37兆2,872億元に達した。また同年第1~第3四半期に、消費が経済成長に貢献した割合は60.5%に達したと公表。中国消費は依然高いレベルで成長を持続している傾向が明らかとなりました。

 また米コンサルティング大手のマッキンゼーも、中国の消費者信心(自信)指数(CCI)が10年来で最高値を更新。19年の年初から上昇傾向が続いていると発表しています。

 お馴染みの毎年11月11日の「双11(独身の日)」ネットセールの取引高も19年に新記録を更新。電子商取引(EC)プラットフォーム全体の取引総額も前年比31%増の4,100億元に達したこともご存知かと思います。

 2018年の中国とアメリカの消費規模の差は既に2,800億米ドルにまで縮小。これは中国の消費が、アメリカの95.36%相当にまで達していることを意味する統計もあります。保守的に見積もっても、2020年にはアメリカを追い抜き、世界一の消費市場になると見込まれています。

 このように力強く成長を続ける中国消費市場で、より良いモノを求める「消費昇級(アップグレード)」がここ数年大きなトレンドとなっていることは、この会報誌でも繰り返し紹介しています。

 注目すべきは、四線・五線級と称される地方都市の消費が特に成長著しい点と、「95後(1995年〜99年生まれ)」及び「00後(2000年以降生まれ)」世代が消費の主力となりつつあること。

 また単身者とシルバー層(高齢者)が消費のブルーオーシャンとして注目を集め、テレビショッピングのスマートフォン(スマホ)版であるライブコマースなどの新たな消費モデルも成長している点は見逃せません。

 2020年の中国消費市場にはどんな新しいトレンドが生まれるのか?中国の消費者はどのように変化するのか?中国事業で消費動向を「マーケティング」することがますます重要になる中、今号では中長期計画策定に不可欠の消費トレンドについて、19年の消費データを元に分析と予測をしています。

 (※新型肺炎が中国消費に与える影響の考察については、このコンテンツには含まれていません。)

 そのほか、以下のとおり、中国消費やマーケティングに関する情報が盛りだくさんです。

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会報誌『中国消費洞察』 
2020年1&2月合併号(vol.71)  もくじ
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【巻頭特集】中国高齢者介護・養老市場
高齢化待ったなし!!官民挙げて環境整備
中国高齢者向け「養老」産業を徹底分析

【トレンドウォッチ】2020年中国消費トレンド分析
「消費分級」で消費の“メリハリ”が鮮明に
中長期計画に知っておくべき中国消費トレンド15選

【マーケティングレポート】
ナマケモノたちの家④
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