中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
月刊会報誌『中国消費洞察』

2021年10月号 (vol. 88)

月刊会報誌『中国消費洞察』2021年10月号 (vol. 88)
【注目企業ピックアップ】新消費ブランド「WONDERLAB」調査分析レポート
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Z世代と女性が牽引!急成長する中国代替食市場
ダイエット用シェイク「WONDERLAB」(ワンダーラボ)が大人気に!
【マーケティングレポート】注目 KEY WORD
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中国版D2C「私域」①
SNS時代の王道マーケティング
 会報誌2021年10月号(vol. 88)の巻頭特集では、ここ数年、中国の消費市場で高い注目を集めている「下沈市場」を取り上げました。下沈市場とは、地方に広がる三線都市以下の小都市や県・鎮、農村の市場のこと。具体的には約300の地級市、約3,000の県、約40,000の鎮、66万の村が含まれ、中国の面積の約95%を占めています。

 北京、上海、広州、深圳の一線都市のほか、杭州、成都、南京など二線都市の中でも上位に位置する新一線都市では、競争が激化し、消費が飽和状態に達しつつあります。これに対して、消費の新たな成長の機会を生む場として、多くの企業から熱い視線を集めているのが下沈市場なのです。

 中国でも文言の通り「下に沈む」という意味合いで、若干蔑まれているイメージすらある下沈市場ですが、近年来、人々の収入及び消費レベルが急上昇し、都市部との格差も縮小傾向にあります。中国EC市場の成長も、今やこの下沈市場の動力に頼らざるをえない状況になっており、もはや「下に沈む」から「上に浮かぶ」で“上浮”市場と名称を変更してもいいかもしれません。

 下沈市場が特に注目なのが、総人口の約7割を占める10億人を超える人口です。三線都市に35.5%、四線都市にも38.6%を占め、都市数が多い五線都市も全体の約25.9%を占めています。つまり広大な土地と人口の多さが、下沈都市の最大の特徴といえるでしょう。

 近年、より良いモノを求める「消費昇級」(消費アップグレード)トレンドが中国国内を席巻する中、下沈市場でもその膨大な人口を背景に、消費需要が急成長を持続。メーカーや小売流通企業のほか、アリババ、京東(JDドットコム)、拼多多(ピンドウドウ)など中国EC(電子商取引)大手各社も、下沈市場の開拓に躍起となっています。

 中国政府が掲げる国内外の経済の「双循環」(デュアル・サーキュレーション)発展モデルを推進すべく、政府も下沈市場の発展に注力。下沈市場はいまや国内消費の内循環システムの支柱として、中国消費市場全体の牽引役を果たしています。

 日本企業の多くは、一線・二線都市の状況はほぼ把握できていても、下沈市場に関しては、いまだ手つかずの未知の領域でしょう。下沈市場は、人々の収入やライフスタイル、仕事、文化・娯楽など様々な面で大都市とは大きく異なっています。

 下沈市場を理解することは、企業にとって、今後の発展に欠かすことのできない重要な課題といえます。そこで今号ではこれまで当会報誌でも、何度となく提起してきた下沈市場の重要性について、改めて調査・分析しています。

 次に近年若い女性を中心に急成長する代替食品市場と、中国新消費ブランドとして一気にメジャー化したダイエット用シェイク「WONDERLAB」(ワンダーラボ)を取り上げました。

 中国には芝麻糊(黒ゴマで作った汁粉)や五穀粉(穀類や豆類、漢方薬材などを粉末状にしたもの)など、いわゆる伝統的な“代替食品”が数多くあり、特に目新しい市場ではありません。そうした中、若者が健康に気をつかうようになり、“食べても太らない”代替食需要が急増しています。

 体に負担がかからず、気軽に摂取でき、低カロリー・低オイル、低GI値の「軽食・代替食」が多くの若者から支持されています。最近人気を集めているプロテインバー、糖質制限食、食物繊維パウダーなども含めて、ニーズの増加がさらに多くの新ジャンルも生み出しています。

 中国の若者は、食事でダイエットや体脂肪減少、筋肉増強など特定の問題を解決するだけでなく、健康食品を摂ることによる全面的な予防効果も期待。満腹感のある低糖・低カロリーな食生活を続けることで、「健康+美」の全面的アップグレードを実現することが彼らの目標となっているようです。

 ネット通販の淘宝(タオバオ)でも、ライトミール・代替食は食品業界のダークホース的存在となっています。2020年の天猫(Tモール)双11(ダブルイレブン・独身の日)の大型ネットセールでも、357の新規ブランドが売上トップに立ちましたが、食品では、ライトミール(軽食)ジャンルのブランドが大半を占めました。

 インスタントシリアルの「王飽飽」、人工肉など低カロリー食品の「薄荷健康」、ダイジェスティブビスケットの「ffit8」もその一例。淘宝のライブコマースであるタオバオライブ(淘宝直播)でも、ライトミール・代替食は高い人気を誇っています。

 2020年にライブコマースを行ったライトミール・代替食関連の企業数は、前年比約80%増と上昇。消費者の数も196.2%増と大きく伸びました。ライトミール・代替食のタオバオライブでの売上は2019年に175%増だったところ、2020年には262%増を記録しました。

 ここ数年は新規参入するブランドも相次ぎ、中糧集団(COFCO)、香飄飄食品、旺旺(Want Want)といった既存の食品企業大手も、シェイクやスナックなど代替食市場でのビジネス機会を窺(うかが)うなど、競争はますます激化しています。

 現時点では、大手と呼べる企業はまだ存在しない代替食品市場ですが、2019年に設立されたばかりの新興ブランド「WONDERLAB(ワンダーラボ)」が注目です。2019~2020年で4件のベンチャー資金を調達。天猫(Tモール)で女性に最も人気のボトル入り食事代替シェークに選ばれるなど、大人気となっています。

 そこで今号では、中国の代替食市場の現状を分析し、中国の若い世代が健康消費にどんなニーズを持っているのかを探りました。またワンダーラボのような新興ブランドが、どのように市場トレンドを把握し、若者の心を掴んで成長したのかについても迫りました。

 そのほか、以下のとおり、中国消費やマーケティングに関する情報が盛りだくさんです。

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会報誌『中国消費洞察』 
2021年10月号(vol. 88)  もくじ
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【巻頭特集】中国「下沈市場」調査分析レポート
10億人の巨大マーケットがいよいよ“浮上”か?
中国消費の成長を牽引する「下沈市場」完全解剖

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