会報誌2016年3月号(vol.32)では、巻頭特集に中国各地で人気の「書店」を取り上げました。人々の消費や興味が「モノ(商品)」から「コト(体験)」へと一気にシフトしている中国の消費現場において、その最も前線に立っているのが書店でしょう。
といっても、一昔前の本を並べただけの古臭い書店ではありません。いま中国全土で流行っている書店は、シックで落ち着いた内装と照明のなか、台湾や香港含む外国からの書籍を数多く揃え、店内には喫茶店から雑貨、小物、文具の販売、さらには演奏会や朗読会などのイベントスペースや絵画教室などを備えた「複合型」書店です。
中国では、経済成長とともに、ネットやスマートフォン(スマホ)が急速に普及したため、ニュースなど含む活字媒体はどちらかというと紙というよりはデジタル形式による読書習慣が根付いていると考えていました。しかし経済成長の減速や“低調”な社会情勢を背景に、アナログ的な“古き良き”ものに対する回帰現象が出てきているのかもしれません。
こうした風潮の変化を早くから読み取り、かつ引率してきたのが台湾の「誠品書店」です。いま中国で勢いのある“個性派”書店チェーンの数々は、ほとんどが誠品をロールモデルとし、そこに中国や各都市ならではの独自色を加味しているといえます。
こうしたトレンドの背景や書籍市場全体をデータや統計を使って網羅し、そのうえで、人気(話題)の注目書店チェーン6店、「南京先鋒書店」「西西佛書店」「方所」「上海鐘書閣」「猫的天空之城」を紹介しています。また15年11月末に江蘇省・蘇州で、満を持して本土初進出を果たした「誠品生活蘇州」についても、視察レポートとともにその人気や今後の可能性について追究しています。
小売流通現場では、中国コンビニ最前線レポートとして重慶と成都の事情と日系の取り組みについて取り上げました。
重慶のローソンを訪れた際に、入店してすぐに強烈な香りに遭遇しました。「コンビニ=おでん」の香りが既定値だったのですが、そこでは地元のソウルフードともいえる「酸辣粉(辛味春雨スープ)」と「雑醬面(担担麺のような汁なしの麺)」が売られていたのです。花椒(山椒の仲間)が醸し出す独特の香りが充満している店内を眺めながら、日系コンビニのローカル化への本気度に脱帽でした。
重慶や成都には、ローソン、セブンイレブン、ファミリーマートが出揃い、各店しのぎを削っていますが、地元のコンビニチェーンとのシビアな戦いにもさらされています。地元の競合が勢力を急拡大するなか、日系には勝算があるのか…。
最後に今号も「中国・街角ウォッチ」を掲載しています。中国の街角で出くわした面白発見や驚きを写真とともにお伝えする企画。今号は上海と深圳で出くわした光景や出来事、4つの事柄についてその背景とともにお伝えしています。
そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。
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ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』
vol.32(2016年3月号) もくじ
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【巻頭特集】中国最新マーケティング
『オンラインからオフラインへの回帰か!?
「書籍+喫茶+雑貨」の複合型書店がトレンド』
中国書籍市場の「いま」に迫る
【小売・流通現場】注目商業施設を徹底研究
『中国“コト(体験)”消費を引率』
「文創」の旗手、台湾系「誠品生活蘇州」が大盛況
【小売・流通現場】中国コンビニ最前線レポート
『重慶&成都に打って出る日系コンビニの勝算は?』
地場系コンビニチェーンの壁を打破できるか
【中国・街角ウォッチ】街角で出くわした面白発見&驚き
『UFOキャッチャーで客の心もひと掴み!!』
『アイススケートが「コト」消費のシンボルに!!』
『アップルペイ中国参入で三国時代へ!!』
『天津でも日本のカレーライスが人気に!!』
【都市別調査】
重慶 vs 成都 編 ~その2
『商業施設比較 重百とイトーヨーカ堂』