中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
月刊会報誌『中国消費洞察』

2024年7&8月号 (vol. 116)

月刊会報誌『中国消費洞察』2024年7&8月号 (vol. 116)
 会報誌2024年7&8月合併号(vol. 116)の巻頭特集では、中国家電業界のトレンドを分析しました。

 経済成長とともに、各家庭に家電が行き渡り、市場はほぼ飽和状態となっている中国。新型コロナの流行も、中国の家電市場に大きな打撃を与えました。

 コロナを抑え込む「ゼロコロナ」措置の廃止以降、家電需要も徐々に回復傾向となりましたが、消費のほうはあまり回復が顕著とはいえない状態が続いています。

 家電業界を専門に研究する調査会社の奥維雲網(All View Cloud、以下AVC)によると、中国家電業界の小売市場規模は、2023年に前年比3.6%増の8,498億元となりましたが、コロナ前(2019 年)の水準の95.4%にとどまっています。

 家電に対する注目ポイントも、品質や機能面のアップグレードへと移行。製品のハイエンド化とともに、ヘルステックやベビー・マタニティなどニッチなニーズに特化した製品も登場。そのほか、セット販売や使用シーンごとのソリューション提案などもトレンドとなっています。

 販売チャネルに関しては、ネット通販やソーシャルメディアの急成長に伴い、家電市場でもオンライン化が顕著になっています。多くの製品カテゴリで、EC化率は5割前後となっており、掃除機などの清掃用家電は実に8割を超えています。

 ライブコマースも活況で、フードデリバリーなどを活用した「即時零售」(インスタント・リテール)も、家電販売のチャネルとして浮上。ソーシャルコマース、コンテンツコマース、越境EC(電子商取引)、私域・社群など多様な小売流通モデルが、家電業界に新たな機会と競争を生みだしています。

 今号では、中国家電業界の現状や消費トレンド、販売チャネル、消費者ニーズなどにスポットライトを当て、家電メーカー各社のマーケティング戦略について調査・分析しました。

 次に、中国で「她経済」と呼ばれるウーマノミクスのトレンドを世代別に洞察しました。

 経済の発展に伴い、高学歴女性の割合が上昇。収入の男女間格差も縮小傾向にあります。女性の日常的な消費やキャリア、自己啓発など様々な目的で形成される「她経済」は、今まさに中国経済の大きな原動力となっています。

 中国国家統計局によると、15~65歳の主要消費層のうち、女性の人口は2022年時点で約4億6,800万人。女性の総人口の67.8%で、男性を含めた総人口の33.1%を占めています。

 ユーロモニターやデロイトなどは、2023 年の中国「她経済」関連業界の消費規模は10兆元を超えたと試算。これは、フランスの1年間の最終消費支出を上回り、世界第7位相当の一大消費市場となっています。

 中国の消費市場を分析する際、地域や都市(線級別含む)ごとに考察されることが多いですが、世代ごとの違いも手法としてよく利用されます。

 中国社会は、建国当初のベビーブーム期の後、数十年にわたる計画出産政策期、さらにここ10年の二人っ子政策への転換期などを経て、家族構成に大きな世代間格差が生まれました。

 例えば、「80後」(198~89年生まれ)世代。計画出産政策の時代、都市部で生まれた子供の多くが一人っ子で、幼少期を「4―2―1」(4人の祖父母、2人の父母、自分)という“逆三角形”の家庭環境で過ごしました。

 その後、成人した彼女らは、二人っ子政策への転換に伴い、複数の子供を持つことが可能となりました。その影響で、家族構成は親の介護と子育ての双方の負担が重く乗っかる“ダンベル”型に移行しています。

 こうした逆三角形からダンベル型への家族構成の変化は、「80後」世代の消費傾向や消費意欲に少なからぬ影響を及ぼしています。

 そこで今号では、中国の女性を家庭における祖母、母親、子供の三世代に分け、世代間格差の視点から「她経済」の最新トレンドを読み解いてみました。

 あの頃の中国ビジネス&生活(その21)は、中国語で「共享経済」と呼ばれるシェアリングエコノミーが一大ブームとなった2017年ごろ、町中でオレンジや黄色のシェア自転車が所狭しと並ぶなか、次なる主役として注目されたカーシェアリングについて。

 2017年6月時点で、中国のカーシェアリングの車両台数は4万台に達し、その規模はアメリカやドイツの1.7万台をはるかに上回り世界第1位に浮上。2020年には車両台数15万台、そして市場規模も2016年の4億元から2020年には92億元に達するといった予測もありました。

 当時、電気自動車(EV)とシェアリングエコノミーの普及を推進していた中国政府も、カーシェアリング市場の発展を支援する政策や目標を相次いで発表。続々と企業が新規参入するなか、同市場の急成長を牽引したのは自動車メーカーでした…

 そのほかにも、中国の消費やマーケティングに関するインサイト情報やデータが盛りだくさんです。

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会報誌『中国消費洞察』 
2024年7&8月合併号(vol. 116)  もくじ
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【巻頭特集】中国家電業界トレンド分析レポート
EC化率5割超、フードデリバリーで家電を購入!?
中国消費の今が如実に現れる中国家電業界トレンド洞察

【トレンドウォッチ】中国「她経済」分析レポート
個性重視「00後」、自分本位「80後」、リベンジ消費「60後」
世代別に見る中国「她経済」(ウーマノミクス)

【マーケティングコラム】あの頃の中国ビジネス&生活㉑
自動車メーカーが在庫処理と宣伝目的で参入?
中国製EV躍進に貢献した(?)カーシェアリング


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