会報誌2017年6月号(vol.45)では、巻頭特集に中国ビッグデータ業界を取り上げました。世界中で次世代のビジネスチャンスとして注目を集めるビッグデータ。スマートフォン(スマホ)普及に伴う各種アプリやサービス、IoT(モノのインターネット)、「インターネット+」など、ネットに接続された環境やインフラが整うにつれ、様々な情報やデータがネット上で飛び交い、かつ集積されています。そうして集められた膨大なデータをいかに企業の売上向上や人々の生活改善に役立ているかが論じられていますが、まだビジネスとしてマネタイズできていないのが現状ではないでしょうか。
中国もこの流れに乗じ、次世代ビジネスで主導権を得るべく、官民一体となってビッグデータ産業の発展に注力しています。特に約7億人のスマホユーザーを擁する中国。その膨大な数のユーザーが日々の生活でスマホアプリを利用、単にコミュニケーションや娯楽の手段にとどまらず、通販、飲食、交通、金融、決済などあらゆる生活シーンに浸透しています。こうして吸い上げたデータの活用が、ネット企業を中心に本格化しているのですが、中にはすでにビジネスとして形になりつつあるものも登場しています。
次世代の“金のなる木”として研究開発が進むビッグデータ。そこから波及するAI(人工知能)や自動運転含め、この分野で主導権を握ろうと躍起になっている中国のスピード感は“脅威”に感じます。世界最大のネット人口、そこからデータを集めるためのツールであるスマホの普及、さらにそれを一元管理できる統率力と資本力。データの量と質がすべての土台となるビッグデータ業界において、どの国や企業にも真似出来ない要件を満たす中国。
今回の特集では、まだ離陸段階の中国ビッグデータ産業について、市場規模や今後の動向、政府の政策や発展の方向性、各地方政府の取り組みや各地のビッグデータ産業園の状況、ネット企業を中心とした各社の取り組みや応用領域、さらには中国企業のビッグデータの活用状況(アンケート結果)などの視点から調査・分析しています。
トレンドウォッチでは、中国シェアリングエコノミーの次なる騎手として注目のカーシェアリングをピックアップしました。最近、上海の街角で頻繁に目撃するようになった「EVCARD」社のEV(電気自動車)。日本の軽自動車のような小型車で、針時計を模したロゴが車体に印刷され、ひと目で“時間貸し”の電気自動車であることが連想できます。
上汽(上海汽車)集団が51%出資のEVCARD。現在すでに北京、上海、成都、南京など23都市で業務を展開。上海だけでも6000台を超える車両と、4000ヶ所の充電ステーションを設置、1日当りの利用者数は1万5000人超、1台当りの平均稼働時間も4時間近くに達しています。利用料も1分わずか0.5元、1時間乗っても約30元と、タクシーや配車サービスを利用するよりはるかに安いのが人気の秘訣でしょう。
市場規模が16年の4.3億元から20年には92.8億元にまで急成長すると予想されている中国カーシェアリング業界。車体価格や駐車スペース、充電ステーションの設置など各種課題は山積みで、シェア自転車のような急拡大は見込めないでしょう。しかし、次なるビジネスの“芽”を求めて自動車メーカーはじめ多くの企業が参入、シェア拡大を目論でいます。そうした各社の現状や今後の動向、政府の政策や方針、市場拡大に立ちはだかるハードル、利用者の属性や満足度調査などから、同業界の今後を占っています。
中国コンビニ最前線レポートでは、中国コンビニチェーン最大手の「美宜家(MEIYIJIA)」について。16年には新たに1700店舗を出店し、店舗数は9300店に。売上は前年比26%増の100億元超で、市場シェアは約10%に達しています。とはいえ、美宜佳は1997年の創業以来、一貫して珠江デルタ地域の市場を開拓、実に8000店舗超が広東省内にあります。14年から湖南、福建、江西、湖北の各省にも出店していますが、華南地区以外ではマイナーな存在と言えるでしょう。
広東省・東莞からスタートした美宜家。中国全土から集まる工場勤務の労働者をターゲットに、ミニスーパー的なコンビニで頭角を現してきました。近年は都市部への出店も多くなっていますが、彼らがいかに広東省の消費者や加盟店経営者から支持を集めているのか…。美宜家の出店エリア戦略や商圏ごとの店舗形態や方針、商品配送体制、ネットやO2O(スマホ含む)の取り組みなどから考察しています。
そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。
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ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』
vol.45(2017年6月号) もくじ
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【巻頭特集】
『急発展する中国ビッグデータ市場』
政策の先導により、業界内での応用も多元化
【トレンドウォッチ】
『シェア自転車に続く都市のニューフェイス「カーシェアリング」』
タイムシェアで環境に優しいシェアエコノミー
【小売・流通現場】中国コンビニ最前線レポート
『華南地区だけで1万店に迫るNo.1チェーンを成功に導いた戦略とは』
広東省・東莞発、中国コンビニチェーン最大手「美宜佳」
【都市別調査】
水、TV、10元ショップ ~ その③
『3者3様こだわり街道 成功者の創る景観を見る』