中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
月刊会報誌『中国消費洞察』

2024年4月号 (vol. 113)

月刊会報誌『中国消費洞察』2024年4月号 (vol. 113)
 会報誌2024年4月号(vol. 113)の巻頭特集では、新たな成長の牽引役として注目の「下沈市場」を取り上げました。

 下沈市場とは、中国で都市の発展度合いに応じて「線級」単位でランク分けされた三線級以下の中小都市に加え、県・鎮、農村部などを含めた市場を指します。中国国土の約95%を占め、総人口14億人の約2/3、つまり約10億人が居住しています。

 2024年の春節休暇期間、ミニブログの微博(ウェイボー)で、「県城経済」(県級都市経済)がキーワードランキングで上位に浮上したことで、下沈市場が再び高い注目を集めました。そのきっかけとなったのが、北京で働く若いユーザーが春節で地元に戻った際に、地方の消費力の上昇に驚いた投稿でした。

 大都市で月収1万元を超える若者が、節約を強いられ、スーパーで夜7時以降に値引きされた食品を購入。一方、地方では月収数千元の若者は時間や金銭面の余裕に溢れ、大きな家に住み、高級車に乗り、消費に明け暮れています。

 一着千元もするルルレモン(カナダ発の高級ヨガウェアブランド)の服を纏い、米ウォルマート系会員制スーパーのサムズ・クラブ(Sam's Club)で高額の輸入チェリーを満喫するなど、地方都市の豊かな消費生活は、都市生活者の驚きと羨望の的となりました。

 ファストフード大手のケンタッキーフライドチキン(KFC)は、中国国内の店舗数が2023年末に1万店を突破。店舗は国内2,000都市以上に分布していますが、新規店舗の半分以上が三線級以下の中小都市でした。

 2023年の新規店舗数が885店だったスターバックスは、新たに進出した都市数27都市のうち、74%が五線級の小都市。全国に3,000以上ある県級都市のうち、スターバックスが進出した都市数はすでに857に達しています。

 米モルガンスタンレーは、2030年までに、中国の三線・四線級都市居住者の消費規模は45兆元に達すると試算。広大な下沈市場の消費潜在力に大きな期待を寄せています。

 しかし中国は国土が広く、多くの人口を抱え、各地の発展度合いもバラバラ。消費構造も各地で異なり、消費者心理も大都市とは大きくかけ離れています。下沈市場での成功は、一筋縄ではいかないことも予想されます。

 2021年10月号で特集した下沈市場。今号で改めてスポットライトを当て、その消費構造や消費者イメージ、具体的な消費傾向、下沈市場での事業戦略などについて、整理と分析を試みました。

 次に、世界に先駆けて“離陸”する中国の「低空経済」を取り上げました。

 低空経済とは、通常1,000メートル以下の低高度(実際のニーズによっては3,000メートルまで)の空域で、民生用の有人航空機と無人運転航空機を輸送手段として、ヒトやモノの輸送など各種シーンにおける低空域飛行活動によって、関連分野の融合的発展をもたらす総合的経済業態のことを指します。

 中国政府もここ数年、低空経済の発展を促進する関連政策を相次いで打ち出しています。2021年には、「国家総合立体交通ネットワーク計画綱要」の中に低空飛行が組み込まれました。2023年12月には、中央経済工作会議が、低空経済を戦略的な新興産業の一つに掲げ、その発展を積極的に推進していくことを奨励しています。

 2024年の「両会」、つまり全国人民代表大会(全人代)と全国政治協商会議(政協)でも、政府の活動報告で低空経済が初めて言及され、各界から注目を集めています。

 中国政府・工業情報化省傘下の調査会社、賽迪顧問(CCIDコンサルティング)が公表した「中国低空経済発展研究報告」によると、2023年の中国低空経済の市場規模は5,059億5千万元に達しているようです。

 政策の後押しや技術の発展、低空空域の開放及び応用シーンの多元化などにより、今後、急成長が予想される中国の低空経済。中国民航局は、中国の低空経済市場規模は、2025年には1兆5千億元、2035年には3兆5千億元に達すると見込んでいます。

 なかでも特に注目されているのがドローン。すでに物流や救援救護など幅広い領域での活用が広がりつつあります。フードデリバリーの美団(メイトゥアン)やEC(電子商取引)の京東(JDドットコム)、宅配の順豊(SFエクスプレス)など大手各社が積極的に導入を進めています。

 そこで今号では、今年、中国で最もホットな話題となっている低空経済について、産業構造から現状、具体的な応用領域、代表的企業、政策、今後の動向などを分析しました。

 あの頃の中国ビジネス&生活(その18)は、スマホ決済の普及とともに市場を一気に拡大した中国フードデリバリー業界の黎明期についてです。

 前号まで紹介してきたネットスーパーや無人コンビニなど、「新小売」と呼ばれる各種O2Oサービスが続々と誕生する前。ちょうどタクシー配車アプリによる“キャッシュバック合戦”が収束しはじめた2016年ごろにさかのぼります。

 当時、中国のフードデリバリー市場は、大手3社が熾烈なキャンペーン合戦を繰り広げていました。

 赤を代表するのがネット検索大手の百度(バイドゥ)傘下「百度外売」。青の「餓了麽」にはネット通販大手のアリババが、黄の「美団外売」にはSNS大手のテンセントがそれぞれバックで出資していました…。

 そのほかにも、中国の消費やマーケティングに関するインサイト情報やデータが盛りだくさんです。

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会報誌『中国消費洞察』 
2024年4月号(vol. 113)  もくじ
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【巻頭特集】中国「下沈市場」分析レポート
中国消費の成長を牽引する「県域経済」とは?
中国「下沈市場」再発見!

【業界研究】中国「低空経済」分析レポート
ドローン配送がデリバリーを変える?
世界に先駆けて“離陸”する「低空経済」

【マーケティングコラム】あの頃の中国ビジネス&生活⑱
ホワイトカラー層の間で人気だった「百度外売」
3社がしのぎを削った中国「外売」(フードデリバリー)黎明期


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