【第486回】今後10年間で1.1億人の高齢者が誕生！！

高齢化のプラスの側面にも目を配る必要あり！！

2021年9月8日更新

　2020年に実施された第7回中国国勢調査。その結果で顕著となったのが少子高齢化の実態です。特に高齢化は世界にも類を見ないほどのスピードで進んでいます。

　2010～20年の10年間で、中国の高齢化は大きく加速。前回の国勢調査に比べて、60歳及び65歳以上の人口の割合の伸び率は、それぞれ2.5％と2.7％と上昇しています。また世界銀行のデータでも、中国の高齢化は2008年からペースが急上昇し、その伸び幅は2017年に日本を上回りました。

　国連が予測した2020年から10年間の中国の人口推移で、人口増が見込める年齢層は65歳以上、55～64歳、35～44歳でした。ちなみに、65歳以上が2020年の1.72億人から2030年に2.47億人で43％増。同じく55～64歳が20年の1.76億人から40年には2.32億人で32％増と予測しています。

　今後10年間で、中国には60歳以上の高齢者が、日本とほぼ同じ人口の1.1億人誕生すると見込まれている中、医療や介護、年金、扶養など大きなプレッシャーに直面することが予想されます。一方で、こうした高齢者を対象にした新たな商品やサービスなど、日本でもよく話題となる「アクティブシニア」向け市場にも、大きな潜在性があるといえるでしょう。

　中国で「銀髪経済」と称されるシルバー（シニア）エコノミー。医療や健康維持などの業界のほか、高齢者向けのレジャーや娯楽、旅行などの需要も高まるでしょう。退職後に、高齢者向けの大学教育過程に興味を持つ人も少なくなく、高齢者向けの教育サービスにも大きなチャンスがあるといえます。

　今回の国勢調査では、中国の労働人口比率とその絶対数が共に低下していることも明らかになりました。総人口に占める15～64歳の人口の割合は68.6％で、2010年よりも6％減少。また15～64歳の人口は9.7億人で、2010年よりも3,000万人減少しています。

　労働人口の減少は、国際競争力の低下にも影響します。一方で、製造業での無人化やスマート化も、新型コロナウイルスの流行もあり、投資が強化されているようです。

　2021年の1～4月期に、製造業の固定資産投資は23.8％増加し、不動産やインフラなどへの投資を大きく上回りました。多くの企業が機械設備の自動化率向上のために投資を増やし、人的コスト削減だけでなく、労働力不足の対策も試みていると言えるでしょう。

　「人口紅利」（人口が多いことで得られる利益）型から「人材紅利」（優れた人材から得られる利益）型への構造転換が迫られている中国経済。高齢化による負の側面だけでなく、プラスの面にも目を向けながら、中国ビジネスの動向を見ていきたいですね。

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