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【第576回】 KFCから学ぶ中国ビジネス戦略

中国でKFC人気持続の秘訣はコラボ?

2023年6月28日更新

 中国で根強い人気を誇るKFC(ケンタッキーフライドチキン)。日本ではマクドナルドのほうが人気で、バーガーキングやモスもあり、KFCは若干影が薄いように思われます。しかし、なぜKFCは中国でここまで受け入れられているのでしょう?

 KFCの中国進出は1987年。マクドナルドの1990年よりも3年早く、大都市だけではなく、内陸の地方都市にも一気に店舗網を広げました。現在の店舗数は9,094店舗。マクドナルドの5,700店舗、ちなみにスターバックスの6,021店舗と比較しても、その数の圧倒さに驚愕です。

 フライドチキンやハンバーガーだけでなく、早くからお粥など「中国式朝ごはん」メニューを打ち出したKFC。北京ダック味のツイスター(ラップ)のほか、チキンライスやマカオ名物のポルトガル風エッグタルトなど、現地ニーズに根ざしたメニュー開発に定評があります。

 しかし中国全土をカバーする店舗網や現地化メニューだけで、KFCが長年に渡り、人気を維持できるほど、変化が激しい中国市場は甘くないでしょう。ではKFCの強みは何なのか?それは、中国で“コラボキング”と呼ぶにふさわしい存在といえる数々のコラボマーケティングの仕掛けと成功例に裏打ちされています。

 ポケモンやLINE FRIENDSなど、キャラクターIP(知的財産)とのコラボだけでなく、麻辣(マーラー)火鍋チェーン店の小龍坎とのコラボによる「毛血旺風味嫩牛五方」(四川風ビーフツイスター)、老舗レストランの知味観とのコラボによる小龍包(ショーロンポー)、受験生の健闘を祈る「定勝糕」(勝負ケーキ)など、数々のコラボメニューも開発しています。

 特に昨年は、ポケモンキャラクターのコダック(可達鴨)とのコラボが一世を風靡しました。児童節(6月1日)に発売されたミュージックトイが人気爆発し、グッズを求めて客が殺到。代理購入のほか、グッズは欲しいがKFCは食べたくない人の代わりにセットを食する「代吃」といったサービスまで登場する熱狂ぶりとなりました。

 昨今のペットブームに着目し、VETRESKA(未卡)、zeze、PURROOMなどのペット関連ブランドとのコラボも相次いで展開。コラボの猫グッズも多くの注目を集めました。こうしたセットメニュー購入でコラボグッズがもらえるキャンペーンは、これからコラボを検討する企業にとっても参考に値するでしょう。

 中国ではもはや“老舗”企業にも属するKFC。長年に渡る人気の秘訣は、こうした絶え間ないコラボによる話題づくりにあるのかもしれません。コラボが連発し、新鮮味が薄れてきている中国で、日本企業もいかにコラボ相手を探し、展開していくべきかを真剣に考察すべきでしょう。
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