【第463回】天猫国際でいきなり“AIさん”から電話が…

ビジネスシーンでの活用広がる中国AI音声認識市場！！

2021年3月31日更新

　会報誌3月号では、中国のAI（人工知能）による音声認識の業界研究に取り組みました。今年から始まった中国の第14次5カ年計画。その中で、量子技術、半導体、宇宙航空などと並びAIも重点投資分野として選出されました。官民挙げてのAI業界の発展を目指す中国で、まずは現在の状況について知っておく必要があると思いました。

　実はこのテーマに関心を抱いたのは、会員企業からのご質問です。70～80元で購入できる中国のAIスピーカーは、最近子供教育の一環などで利用されるとも聞いている。音声精度も向上し、アプリコンテンツも充実してきているようで、消費者がなぜ音声機能を利用するのか。また企業サイドで、AI音声をマーケティングやコールセンターなどでどのように活用しているのかも興味があるとのことでした。

　AIスピーカーについては、この会報誌でも、2018年7＆8月号で一度取り上げています。実際に我が家でも、当時アリババが杭州にオープンした「親橙里」モール内のAIスピーカーブランド「天猫精霊」店舗で目にし、一種のブームにもなっていたこともあり、購入しました。

　最初のうちは目新しさもあり、音楽や天気予報、ニュースなどを聞いていましたが、その後、徐々に飽きてきたのに加え、結局音楽を聞くくらいしか使い道がなくなりました。私のつたない中国語の発音では「よくわかりません」と答えられることも多々あり、最近は毎日朝9時から18時まで、時間を知らせてくれる箱と化しています。ただこれはあくまでも私の体験であって、実際には高齢者や子供向けなどAIスピーカーをフルに活用している中国人も多いでしょう。

　そうした中、アリババの越境ECサイトの天猫国際で、ある商品をカートに入れ、中国人スタッフに後で購入を依頼しようと放っておいたところ（我々外国人は購入できないので…）、「カートに入れながらまだ決済していませんが、何か問題ありますか？」と女性から電話がかかってきました。その女性に対してこちらから話しかけたのですが、全く反応なく…。結局はAIによるリマインドの電話でした。

　一方、最近金融関係の調査で、ある中国の会社が返済の催促でAIによる音声を活用したようなのですが、結局は全く効果なしとのことで、またヒトによる催促に戻したとのこと。その理由はあくまでも返済期間が近づいた（過ぎた）という通知のみで、返済予定など対話ができないといった問題があったからのようです。

　実用面ではまだまだかもしれない中国のAI音声市場。まずは着手して、やりながら改善していくという中国ならではの手法で、一気に市場も技術レベルも高めていきそうです。世界の先端を行く中国のAI音声業界、日本企業も無知でいるわけにはいきません。

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